RPAの運用課題を克服してRPAを浸透させていく!

 

1.はじめに

近年、RPAは「幻滅期」にあると言われることがあります。

幻滅期とは、ガートナー社が提唱しているハイプサイクルの一つのフェーズとなります。

これまでのRPAに対する過度な期待が終わって関心が薄れていく時期にあたり、これまでの課題を克服していく時期になります。

幻滅期についてはこちらをご参照ください。

 

RPAを導入されてる企業においては、RPAの利用を浸透させていきたいと考えているのではないでしょうか。

今回は、運用上の課題を解決し、RPAの効果をもっと高めていくために行ってきた弊社での取り組みについてご紹介しようと思います。

 

2.RPAの運用における業務効率化を最大にするために

2-1.デジタルデータの利用や他サービスとの連携

デジタルデータを利用するという点で、RPA用の依頼フォーマットを作成についてご紹介します。

基幹システムへの登録の際にロボットに大量処理させたい場合、ユーザーは1度にRPAで処理させたいでしょう。

そこで、ロボットに大量処理させることができる依頼用フォーマットをExcelで作成しました。

ユーザーが依頼用フォーマットに処理内容を記入してロボットに依頼すれば、ロボットはその内容で処理するようにできています。

依頼用フォーマットの例は以下の画像で、処理に必要な入力項目の列を作成しており1行に1件の処理内容を記載します。黄色枠は記載必須、黒枠は記載自由としています。

依頼用フォーマットの例

 

このような依頼用フォーマットを利用する際のメリット・注意点は以下になります。

メリット

複数件の処理依頼ができるため、1件ずつ処理するよりも効率化されて件数が多いほどスケールメリットがある

それぞれの処理について処理結果を記載して一覧化できる

・依頼用フォーマットを使いまわしができる

 

注意点

レイアウトを変更すると利用できない

必要項目の記入漏れがあるとロボットが処理エラーになるので事前にチェックを行う

 

処理ステータスの列を設けることでそれぞれの処理に対してロボットの処理結果を記載することができるため、どの処理が成功・失敗したのか一覧で見ることができます。

そして、一度依頼して処理結果を戻された後で依頼用フォーマットへ処理内容を追加したり、同じ処理内容をコピペしたりして依頼することもでき、同じ依頼用フォーマットを何度でも利用できます。ただし、複数件依頼していて処理成功しているものに関しては処理しないようにロボット側で制御しています。 

一方で、注意点もいくつかあります。

ロボットは正しい依頼用フォーマットに従って処理していくため、依頼用フォーマットの処理項目の順番が勝手に変更されてしまうと正しい処理が行われずエラーになります。

また、必要項目を全て記入しているかどうか事前にチェックし、記入漏れがあるとエラーとしてユーザーに戻さなければいけません。なぜなら、その後のロボットが処理する際に必ずエラーになるためです。

 

依頼用フォーマットを利用して処理結果を連携する際は、処理結果通知のメールに添付する、もしくOneDriveやDropboxなどのオンラインストレージサービスにアップロードするといった方法でユーザーに連携できます。オンラインストレージにアップロードすれば、ユーザーはオンライン上で処理結果の確認ができるようになります。

このように依頼用フォーマットをうまく活用することで、リモートワークを推進する一助になります。

 

2-2.RPAと連携できるアプリケーションの開発

次に、さまざまな業務自動化はできているが、ロボットへの処理をユーザーが個人で依頼できず運用しづらいという課題に対する対応策をご紹介します。

それは、ユーザー個々人がRPAを利用できる統合的な窓口としてRPA依頼用のWebアプリケーションの作成です。

例えば、先程紹介した依頼用フォーマットをWebアプリケーションにドラッグアンドドロップして依頼することで、Webアプリケーションをトリガーにロボットを起動させることができます。

RPA依頼用Webアプリケーションの例

 

 

Webアプリケーションからロボットを起動する仕組みについて、BluePrismとの連携についてご紹介します。

BluePrismにはAutomateC.exeという実行ファイルがあります。AutomateCはコマンドラインからBluePrismを実行できるもので、Webアプリケーションからプロセスを指定して実行させることができます。これはタスクスケジューラやBluePrismのスケジューラに依らず、Webアプリケーションから依頼すると即実行されます。

BluePrismはサーバ型のRPAで、処理依頼をしてもユーザーのPCで処理するわけではないため、ユーザーは自身のPCで別の作業を行うことができます。

 

話を戻し、RPAとWebアプリケーションを連携させるメリットは大きく2点です。

ユーザーがロボットに依頼したいときに利用でき、すぐに処理が実行される(BluePrismの場合)

拡張性を持たせておくと、異なる業務の処理依頼もWebアプリケーション上から依頼できる

 

このようなユーザーがRPAを利用できるシステムを整備してRPAの効果を実感してもらうことは、RPAの利用を浸透させていくきっかけになります。

 

2-3.RPAとユーザーの業務の切り分け

ロボットはユーザーの業務を代替処理していますが、いくつかエラーが発生する場合があり、その際にエラーの内容をざっくりとエラーとして一括りにしていると、運用でどうすればいいのか見えづらくなってしまいます。

このような状況を打開してRPAをうまく運用していくには、ユーザーによるエラーとロボットによるエラーを判別し具体化していくことです。

例えば、ユーザーによるエラーとしては以下が挙げられます。

ログイン情報の間違い

入力項目のバリデーションエラー(半角英数字の入力を全角で入力)

この類のエラーはユーザーが直接修正する以外にロボット側のエラーが解消されないため、ユーザーに修正依頼する必要があります。

 

一方で、ロボットによるエラーとしては以下が挙げられます。

ネットワークの接続不良などによる画面遷移のミス

外部APIとのコネクションエラー

これらが偶然起こったエラーであれば、再度ロボットで処理するとエラー無く処理できるはずです。

このように、ユーザーとロボットのエラーを切り分けてどちら側のエラーがどこで起こったかを具体的に検知できるようにしておき、その内容をメール等でユーザーに知らせることによって、ユーザーは次に何をすべきか判断できます。

 

3.おわりに

今回紹介したのは、弊社がRPAの運用課題を解決するための取り組みの一部です。

現状の運用課題を解決していき安定した運用ができるようになれば、特にユーザーがRPAを利用しやすい環境・仕組みを整えることで、RPAの利用が浸透していき業務の効率化がさらに進んでいくでしょう。

しかし、RPAを利用して業務効率化を掲げる一方で、運用でユーザーの負担を増やすことになってしまっては本末転倒です。

例えば、ユーザーが依頼用フォーマットに処理内容を記入するためにいつも業務で使用するシステムから情報を参照して依頼用フォーマットに記入していくのは効率化しているとは言えません。

RPAを運用する上では、システムとユーザーの利便性のバランスを考えていく必要があり、RPAのみでは成り立たない部分に関してはそれぞれの企業の形に合うようにカスタマイズしていくことが求められます。

 

弊社では、最適な運用やユーザビリティの高いサービスを提供しています。現在、RPAを導入しているがなかなか業務効率化を感じられない、または運用を見据えた業務自動化を行っていきたいと考えている企業の方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社までご相談ください

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