急成長のRPAが幻滅期?RPAのこれからを数字で理解する

はじめに

みなさん、こんにちは!
平素RPAプロジェクトに携わる中で、「RPAが幻滅期に入ったってニュースを見たけど、実際今後どうなっていくの?」とお声掛けいただく機会も多くなりましたので、こちらのコラムを執筆させていただきました。
 
あくまで私見ではなく、市場収益や成長率などからグローバル全体のRPA事情を理解した上で、グローバルから見た国内の状況と、日本のRPAのこれからを考えていきたいと思います。
 
 

幻滅期の正しい理解

まず、幻滅期とは、ガートナーの提唱するハイプサイクルにおける1つのフェーズのことです。
 
そもそもガートナーハイプサイクルとは、テクノロジーやサービスなどが市場に登場したあと、それらに対する”期待度”が時間とともにどのように推移するかを視覚的に説明したものです。
 
新しいテクノロジーやサービスなどが登場してから市場に受け入れられるまでは、総じて同じ経過を辿るとされており、具体的には以下5つのフェーズが存在します。
 
  • 黎明期:市場に登場した直後は、期待が急上昇します。
  • 「過度な期待」のピーク期:期待に見合う成果を伴わないまま過熱気味にもてはやされます。
  • 幻滅期:熱狂が冷めると期待が一気に幻滅に変わります。
  • 啓蒙活動期:幻滅期を乗り越えて改めて市場への浸透が進みます。
  • 生産性の安定期:成熟したテクノロジーとして市場に認知されます。

 

 
 
現在、RPAは幻滅期に突入しており、企業の実導入で発生した諸課題を改善し、乗り越えていく必要があるフェーズに入っています。
また、次フェーズに進む過程で、数多存在するRPA製品やサービスの淘汰が進んでいくことになります。
 
 
 
では、この幻滅期を乗り越えていくのはどの製品なのか、RPAソフトウェアの市場動向から考えてみましょう。
 
 

RPAソフトウェアのグローバル市場

ガートナーのプレスリリースによると、RPA市場は世界のエンタープライズソフトウェア市場で、最も急成長しているセグメントで、売上ベースでは2018年時点で約911億円(実績)、2019年の見込みは約1,400億円まで拡大すると予測されています。
 
これまでのRPAソフトウェアの市場収益は、以下の通りです。
  2017年 前年比57%増  6億8,000万ドル(約732億8,394万円)
  2018年 前年比63%増  8億4,600万ドル(約911億7,384万円)
 ※為替レートは2019/9/30時点
 
ここから、RPA市場全体の成長率については、グローバルレベルで加速し続けている状況であると理解できます。
 
 

RPAソフトウェアのマーケットシェア

ソフトウェアの競争は非常に激しく、2017年から2018年の1年間で、上位10社中9社がシェアを変動させています。
2017年には5位だったUipathが、2018年にはトップとなりました。
 
*以下、企業名にて表記しております。
 
 

マーケットシェア

 
 
2018年のシェアを見ると、トップ5のベンダーが市場の約半数を占めている状況です。
 
 

成長率

 
ただし、シェア6位のKofaxと7位のNTT-ATが、200%を超える成長率となっており、上位層の入れ替わりが十分にあり得る状況となっています。
 
 

売上高

 
売上高でもトップとなったUipath社では、先日新たな打ち手として、非エンジニア向けの次世代RPAである「StudioX」もリリースされました。これによりこれまで採用されなかった企業へも、利用が拡大する可能性があります。
 
 

国内の状況

日本のRPA導入成長率はグローバルでみてもトップレベルで、なんと124%(2017〜2018)でした。
グローバル全体の市場においても、北米・西ヨーロッパに続き、第3位のシェアとなったようです。
 
日本の市場で導入の多いNTT-AT(WinActor)とUipathが、グローバルレベルで成長率トップ2となっている点からも、日本市場におけるRPA導入の伸び率の高さが伺えますね。
 
ちなみに、グローバルレベルでみて、日本の導入成長率が高い理由については、”働き方改革”の影響が大きいと考えられます。
働き方改革の課題として、主に「労働時間の削減(残業を減らす)」と「労働人口減少」のキーワードが挙げられますが、これらを解決する有力な手段としてRPAが選択された結果、諸外国よりも高い成長率となっているのではないでしょうか。
※詳細については、弊社のベテランコンサルタントが「残業時間削減だけで終わらせない働き方改革」にて考察をしております。ぜひご興味のある方はご参照ください。
 
 
少し脱線しましたが、話しを戻します。
 
日経コンピュータの調べによると、国内におけるRPAの自動化時間は、2019年夏時点で約610万時間/年(有効回答66社)となっており、これはおおよそ4万人月の労働力に該当します。

これらの企業の内、2020年末までのRPA導入計画(50社)分を合算すると、約1,700万時間/年にのぼる想定となっており、これはおおよそ1年ほどで3倍近い自動化時間となる見込みです。


 
 
これは約11万人月ほどの労働力に該当し、かつ既存の業務を熟練者同様にこなすことができると考えると、人材を採用するのが難しい昨今においては、特に大きな戦力として考えられます。
 
 

RPAの導入満足度

MM総研の調べによると、RPAを導入した国内企業の約6割が、導入に満足していると回答しており、さらに導入企業の約8割が、更なる利用拡大を志向していることからも、RPAの有効性と導入満足度の高さが感じられる結果となりました。
 
 
 

まとめ

RPAがハイプサイクルにおける幻滅期には入ったものの、グローバルレベルの市場成長率や、国内企業の導入状況に鑑みると、過度な期待は収束し、現実的な利用範囲で適用を拡大していく企業が増えているといった状況であると考えられます。
 
また、弊社のクライアント企業様においても、既にRPAありきの業務となっていて、いかに安定した運用を継続しつつ、海外展開なども含めた利用拡大を進めていくかが急務となっている企業様も多くなってきているように感じます。
 
既にRPAを導入済みの企業様も、OCRやその他ソリューションと組み合わせて利用を拡大したい企業様も、弊社のこれまでの実績と知見を踏まえ、次のステップのご提案させていただくことが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
 
 
 
 

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