RPA、下から見るか?上から見るか? ~ボトムアップとトップダウンのお話~
皆さんこんにちは。打上花火のようなタイトルですね。打上花火といえば夏。そんな賑やかだった季節も終わりを迎え、涼しくなり、秋がやってきました。そしてRPAというソリューションにおいても種まきから数年経ち、今、収穫の時期を迎えつつあります。
今回は打上花火の見方、ではなくRPAを上から推進するか、下から推進するか、所謂トップダウンとボトムアップについて、それぞれのメリットデメリットを導入業務に携わる中で感じた事としてまとめてみました。関連して今後のDXにおけるRPAの方向性についても考察していきたいと思います。
下から見たRPA
■メリット
・業務に精通しているため、RPA化がスムーズである。
・RPA人材が育ちやすい。
・個々のメンテナンスが容易である。
■デメリット
・ロボットが小さくなる傾向があり、効果も小さくなる。
・ロボットの品質がユーザーによってばらつきがあり、管理コストが大きくなる。
・スケールするには関連部署との細かな調整が必要である。
まず初めに、RPAツールの売りとして、難しいプログラミング知識を必要とせずにユーザーが直接自身の業務をRPA化できることが特徴とされておりました。RPA化したい業務に一番精通しているのはその業務を担当しているユーザー自身であり、それをプログラミング初心者でも実現できる、というのは非常に説得力があります。
メリットとしては業務に精通しているためRPA化がスムーズに進みます。また、自発的にRPAを学習するため、社員教育の観点からも有効であり、今後の全社展開においてリードできる人材となります。自身が作成したロボットであればメンテナンスもしやすいです。
デメリットとしてはひとつひとつのロボットが小さくなる傾向があり、大きな効果は狙いにくいです。また開発者が多くなることで、同じ機能を持ったロボットが生まれてしまうことや、ユーザーごとに均質ではないロボットが作成されます。これはロボットが使われなくなるリスクや管理コストの増加につながります。また、スケールするにあたって関連部署への調整が障壁となる可能性もあります。特に全社的に利用している申請書などをRPA化に伴い変更する場合には、十分な説明が求められるでしょう。
上から見たRPA
■メリット
・スケールメリットを生みやすい。
・規約に基づいた均質なロボットを作成でき、管理しやすい。
・調整役が全社的事業として推進力を発揮しやすい。
■デメリット
・業務聞き取り等とコミュニケーションに関するコストが大きい。
・RPA開発専門のチームがいない場合は、外部の力が必要になる。
・業務内容変更等への対応に時間がかかる。
上というのはいわゆる経営層ですね。社内の働き方改革としてのDX推進にRPAを利用し、業務にかかる時間を合計1万時間削減せよ、といったような形で情シス部門などがプロジェクトを主導するのがイメージしやすいかと思います。
メリットとしては、社内業務を俯瞰することで、スケールメリットを生むロボットを作成することができます。また、プロジェクトの規約なども定められるため、均質なロボットが作成されます。上からのプレッシャーが働き、また権限を持った主導する存在があることで部門間の調整などもスムーズです。
デメリットとしては、RPA化の目的がユーザーに受け入れられなければ協力が得にくく、業務の聞き取りなどのコミュニケーションがスムーズに進まないことが多々あります。また、内部でのRPA化チームの体制構築や外部からの導入支援にコストがかかります。運用に際しては、業務内容変更等のタイミングでもユーザーへの聞き取りや業務整理が発生するため、ロボットのアップデートに時間が必要になります。
| ボトムアップ | トップダウン |
---|---|---|
メリット | ・業務に精通しているため、RPA化がスムーズである。 ・RPA人材が育ちやすい。 ・個々のメンテナンスが容易である。 | ・スケールメリットがある。 ・規約に基づいた均質なロボットを作成でき、管理しやすい。 ・調整役が全社的事業として推進力を発揮しやすい。 |
デメリット | ・ロボットが小さくなる傾向があり、効果も小さくなる。 ・ロボットの品質がユーザーによってばらつきがあり、管理コストが大きくなる。 ・スケールするには関連部署との細かな調整が必要である。 | ・業務聞き取り等とコミュニケーションに関するコストが大きい。 ・RPA開発専門のチームがいない場合は、外部の力が必要になる。 ・業務内容変更等への対応に時間がかかる。 |
RPAその先へ。~花(火)より団子(サンドイッチ)~
日本ではシステムのオーダーメイド化が多いと言われています。DXを推進していくにあたって、RPAはカスタマイズされた各個別業務の接着剤としての役割を担い、更なる導入の促進が推測されます。
RPA化において上下からの推進にはそれぞれ特徴があることが確認できました。最近では両方からのアプローチで良いとこ取りをしようという流れが見受けられます。ボトムアップによるスムーズなRPA開発と、トップダウンによるスケール化やガイドライン整備など、双方向から推進していくアプローチを、上下で挟み込むような形であることからサンドイッチ型と呼ばれています。
サンドイッチ型アプローチは、業務担当者に寄り添いつつ、全社展開の整備・促進も行うことで、最も効果的なRPA化を推進できるものと考えられます。
筆者が導入支援している、とある現場においては、当初、トップダウンで推進が始まりました。しかし、導入が進むにつれて、業務担当者(ユーザ部)においてRPAへの関心が高まり、結果として、ボトムアップ型の概念が浸透しつつあります。
踏まえ、野良ロボットを防ぐガイドラインなどの策定や、一方でRPA講習会の企画など、RPA構築や導入のみならず、双方からのアプローチ、すなわちサンドイッチ型における企画策定および支援もしています。
これから熟成期を迎えるRPA市場では、ロボット作成技術のみならず、さらなる運用設計力が問われるでしょう。BTCではツールの選定やロボットの作成だけでなく、RPAの効果をより高めるために俯瞰的に業務を見直し、合理化の仕組みも提案致します。
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