残業時間削減だけで終わらせない働き方改革
皆さん、働き方改革と聞いてどう思われるでしょうか?順調に進んでいるという方もいらっしゃるでしょうが、「進め方で悩んでいる」「成果が出ずに困っている」と言う方も多いのではないでしょうか?部下の残業を減らすために管理職の残業が増えていると言う様な話も聞きます。
色々と難しい働き方改革をどの様に考え進めれば良いのかを少し考えてみたいと思います。
行政から見た働き方改革
皆さんご存じの通り働き方改革関連法案が成立し、それを遵守する為に多くの会社が働き方改革を推進しています。関連法案は9項目で構成され、大企業はすでに19年4月から対象となり、中小企業は19~23年にかけて実施されていきます。従ってまさに渦中、あるいは目前の課題と言えます。
労働人口減少と働き方変革
働き方改革関連法案は、労働時間を削減する事を目的としていますが、一方でマスコミで盛んに報道されている様に日本は今後労働人口が大きく減少する時代に入っていきます。働き方変革と労働人口の減少。どちらも総労働時間の減少につながります。二つが合わさると日本の総労働時間はどの程度減少していくのでしょうか?
まず働き方変革による削減です。現在の月の残業時間はネットでの情報によると平均で47時間との事です。それをゼロにすると下記の通り労働時間は22.7%減少します。
次に労働人口減少です。ここでは15歳から65歳までの生産年齢人口を取り上げたいと思います。
平成30年度の厚生労働白書によると、2015年には7,682万人だった生産年齢人口が、2040年には5,787万人になると予測されています。つまり、わずか25年の間になんと働き手が24.7%も減少するのです。
そして、労働人口の減少と一人当たりの労働時間の減少、この2つが同時進行すると総労働時間が58.2%に減少すると言う恐ろしい事になります。
つまり、仮に現在のアウトプットを維持しようとすると生産性を1.7倍にしなければならないのです。
労働生産性から見た働き方変革
生産性1.7倍なんて無理と言う声が聞こえてきそうです。
生産性と言えば、日本の労働生産性は高くないという事を聞かれた方もいらっしゃると思います。そうです。実に日本の労働生産性はOECD加盟35カ国中20位で、47年連続で主要先進7ヵ国(G7)で最下位と言う不名誉な記録を持っています。
1.7倍の生産性改善が現実的に思えない一方で、上記の通り日本の生産性が他国に比べて低いと言うのも現実なのです。
労働生産性の定義
所で労働生産性が高い低いと言っていますが、労働生産性の定義はどの様になっているんでしょう?
定義はシンプルで、下記の通りになります。
つまり生産性を上げる為には、分母を減らすか、分子を増やせば良い事が分かります。今日本で進められている働き方変革は正に分母を減らす活動だと言えます。
さてもう少し労働生産性について考えてみましょう。
労働生産性は以下の2通りに分けて考える事が出来ると思います。
①は一般的に理解されている労働生産性で、沢山作る事が生産性が高いと言う考え方です。工業社会を評価するのに適した指標と言えます。
一方②は付加価値が高ければ生産性が高いと言う考え方です。工業社会が成熟し消費側に対して魅力的な付加価値が無いと売れない情報化社会の指標と言えます。
①はイメージしやすいですが、②は何をイメージすれば良いのでしょうか?
ブランド品、AppleのiPhoneは分かり易いですね。これらは物自体が魅力的で高いお金を出しても欲しいと思わせるものです。つまり付加価値が高いと言えます。
もう1つはAmazon.comが考えられます。こちらは皆さんご存じの通り売っている物自体はどこでも買えるもので特に付加価値が高いとは言えません。しかし、欲しい物が簡単に見つかるWebサイト、そこそこ安い価格設定、家まで早く確実に届ける物流の仕組みなどが魅力となり驚異的なペースで成長し続けています。こちらは、物ではなくお客さんから見た業務プロセスに付加価値があると考えられます。
日本は工業化社会では勝ち組でしたが、いまだに①の考え方から抜け出せず、残念ながら②の考え方では欧米の後塵を拝していると考えられるのではないでしょうか?
質的労働生産性改善をどの様に進めるべきか?
労働生産性アップに話を戻したいと思います。では私たちはどの様にして働き方を変え、労働生産性を大きく向上すれば良いのでしょうか?
ブランド品を作る、iPhoneみたいな魅力的な商品を作るとなると、一部の天才や才能がある人のみができる事となり、一般的な解決策にはなりにくいと思えます。
一方で、業務プロセスを改善してお客さんから魅力的に見える様にすると言うのは、私たちでも出来そうな気がしませんか?
私は、日本の大きな課題である「労働人口減少対応」と「働き方変革」のアプローチは、業務プロセス改革を1つの軸として据えるのが良いと思っています。
もう少し考えてみましょう。
先に書いた通り労働生産性アップは、分母の労働投入量を少なくし、分子の付加価値を多くする必要があります。しかし、そう簡単ではありません。
分母の労働投入量は労働人口の減少と労働時間削減により、先ほど示した様に現在の58.2%に削減しなければなりません。これを実現する為には、業務の自動化が欠かせずITの活用が必須となると思います。
分母の縮小だけでも大変なのに、分子の付加価値もアップしなければなりません。これは下手をすれば労働時間を増やす事につながりかねません。
今でも十分に忙しいのに、分母を減らし、分子を増やす事を両立する為には労働時間の大幅な増加が懸念されます。
これに対して、下記の通りに進めては如何でしょうか?
① 分母(投入工数)を大幅に削減する活動には、ITの活用が重要であり、ITの活用が最もうまく進む体制を組む。IT専門家の社外のリソースを積極活用する。
②分子(アウトプット)を大幅に拡大する活動は会社の強みに直結する本業であり、業務プロセス変革が最もうまく進む体制を組む。分母で削減した社員の工数を投入して推進する。
分母、分子の改善はいずれも難度の高い課題であり、それぞれに適切な体制を組むことは働き方を変革し、生産性を大きくアップする為の大前提になると思います。
少々抽象的な話になってしまいましたが、少しでも参考にして頂ければ幸いです。
BTCは分母の改善の実働、また分子の改善のお手伝いにお役立ち出来ると自負しております。もう少し具体的な話がしたい等ありましたら、是非お声がけください。
最後までお読み頂きありがとうございました。
最新情報をお届けします!
RPAに関する最新コラムやイベント情報をメールで配信中です。
RPA領域でお仕事されている方に役立つナレッジになりますので、ぜび登録してください!
- November 2024 (2)
- October 2024 (3)
- September 2024 (2)
- August 2024 (4)
- July 2024 (1)
- June 2024 (2)
- May 2024 (3)
- April 2024 (1)
- March 2024 (1)
- February 2024 (1)
- January 2024 (1)
- December 2023 (1)