PowerApps ポータルレコード移行ツールの比較

はじめに

皆さん、こんにちは。とあるスポーツで社会人リーグにて現役復帰をした筆者ですが、慣れないポジションでの先発出場ということもあり、ケガをしてしまいました。何事も適材適所の考え方が大事であることが身に沁みました。

さて今回はそんな適材適所での選定が求められる、PowerAppsのポータルレコードを環境移行する際に利用するツールの比較や利用ケースなどをご紹介します。

PowerPlatform及びPowerAppsポータルがどのようなものか、ある程度把握されている前提で読み進めていただけますと幸いです。

 

PowerAppsポータルとは

Microsoft社が提供する、Microsoft Power Platformの一部であり、組織・企業内外のユーザーへローコードでWebサイトを公開することができるツールです。

弊社では、Power PlatformPowerAppsポータルについてのウェビナーも開催しておりますので、本記事と併せてご参照いただけるとより理解が深まるものと思います。

ウェビナー一覧

ウェビナータイトル URL

Power Platform】各製品の特長・ライセンス費用の紹介と導入時の心得

https://www.youtube.com/watch?v=ApzvJZbUUIU

BTCPower Apps初心者必見! モデル駆動型アプリでできること

https://www.youtube.com/watch?v=dvpdHq3ub0k

MS共同ウェビナー】Power Appsポータルによる外部向け申請手続きサイトの構築事例

https://www.youtube.com/watch?v=nJ6eueZcjAU

 

PowerAppsポータルの環境構成は、従来のシステム開発と同様の基本原則に従っています。

つまり、開発フェーズや保守運用フェーズにおいて、コンポーネントの移行をする必要が生じます。

しかしながら、PowerAppsポータルのコンポーネントを包括的に、過不足なく移行できるツールは今のところパブリッシュされていません。

PowerAppsポータルレコードの一例(赤枠内)

そこで今回は、PowerAppsポータルコンポーネントを移行することができる2つのツールの紹介および比較を行っていきます。

 

環境移行ツール

PowerAppsCLI

PowerAppsCLIは、PowerAppsコンポーネント等を名前の通りコマンドラインから操作・管理するためのツールです。CLIを使用することで、開発者・管理者はコマンドプロンプトまたはターミナルを通じてPowerAppsを作成、デプロイ、管理することができます。

【参考】PowerAppsCLI

Microsoft公式のPaperから紹介されているだけあり、高機能かつ動作やセキュリティ面における安全性は担保されているように思いますが、あくまでコマンドラインです。UI的に親切ではなく、また環境移行に直結するコマンドでも確認のダイアログ等がなく「一発勝負」です。(スクリプト実行にする等の工夫を施せば解消はできます)

長所

短所

・環境内コンポーネントを丸ごと移行可能

・コンポーネントデータの読み込みが速い

UIが不親切

・ヒューマンエラーを引き起こしやすい

 

XrmToolBox

XrmToolBoxは、Microsoft Dataverseに接続して動作するオープンソースのWindowsアプリケーションです。こちらはCLIと異なり、技術者コミュニティが開発・運用しているサードパーティ製です。

環境移行以外にも、ライブラリをインストールすることでテーブルスキーマの出力や、CSVファイルからDataverseテーブルの列を一括で入力することもできます。

 

CLIに対してこちらはアプリケーションということもあり、UI的に親切な設計となっているため、直感的で分かりやすいです。

図の赤枠内がポータルレコードの種類一覧となり、黒帯で隠している箇所が実際の各ポータルレコードになります。

無償のアプリケーションで、直感的に扱えるXrmToolBoxですが、手放しで採用できない罠もあります。

1つのコンポーネントにおける最大数が5000件という制約があり、大規模なサービスを展開しているWebサイト等では、一括で移行することはできません。

また、環境内のポータルレコードをロードする必要がありますが、この動作が非常に重く、PCのスペックやネットワーク状況では処理ができないなんてことも発生します。

 

長所

短所

UIが親切

 

・読み込めるデータが1つのコンポーネントにつき5000件まで

・コンポーネントの読み込み・移行に要する時間が長い

PCのスペックやネットワーク環境によっては処理できない)

 

PowerAppsCLIXrmToolBoxの比較

ここまで、PowerAppsCLIXrmToolBoxについてそれぞれ紹介しましたが、次はそれぞれの長所・短所、可不可などを比較してみます。

細かく違いを上げるとキリがありませんが、主に「ポータルレコードの環境移行」にフォーカスした場合の観点としては以下が考えられます。

 

 

PowerAppsCLI

XrmToolBox

発行元

Microsoft

サードパーティ

費用

無償

無償

移行不可なコンポーネント

・原則なし

・招待状

・招待状の引き換え

移行における制約

なし

各コンポーネント5000件まで

所要時間

(約2000件のポータルレコードを一括で移行した場合)

15m 

40m

UI

コマンドライン

アプリケーション

 

移行したいポータルレコード内に5000件を超えるコンポーネントが存在しない場合は、UIの側面で優れていてヒューマンエラーの起こりにくいXrmToolBoxが使いやすいですが、例えば「基本フォーム」「基本フォームメタデータ」等のレコードは、その他のレコードと比して件数が膨れ上がりやすく5000件を超える可能性が高いです。そうしたケースでは、環境のコンポーネントを一括で移行できるCLIを使わざるを得ません。

ツール選択のポイントとしては、以下が挙げられます。1. 2. でツールが絞れない場合は最終的にはUIや所要時間と言った項目が判断材料になるかと思います。

  1. 移行したいコンポーネントに対応しているか
  2. 各コンポーネントのポータルレコード数が5000件を超えているか
  3. コマンドラインに抵抗がないか(UIが優れているアプリケーションの方が良いか)

実際に筆者の所属するチームでは、大多数のコンポーネントの移行はXrmToolBoxで行い、5000件を超えるレコードを有する「基本フォーム」「基本フォームメタデータ」のみCLIで移行するといった運用を行っています。

ツールを並行利用するにあたり、チーム内で運用ルールを取り決めたり、冒頭でも述べたようにCLIツールの実行をバッチ化する等の対策を行っています。

それぞれのツールを併用することにより、移行時間の短縮やヒューマンエラーの減少等、ツール間の特徴を補完するような効果を発揮しています。

 

おわりに

今回は、PowerAppsポータルのコンポーネントを移行することができる二つのツールについて、紹介と比較をしました。

それぞれのツールに、得手不得手や可不可があり、一概にどちらかを推奨する結論ではないものの、ケースによる使い分けや併用の検討等、本記事が役に立てれば幸いです。

 

RPAに限らず、このようなノーコード・ローコード製品についても多数実績がございますので、弊社へお気軽にお問い合わせください。

 

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