基幹業務系システムをRPAで安定的に運用するには

はじめに

従来、企業が利用する基幹業務系のシステムはオンプレミスでの構築が主流であったが、CRMの領域で大きな支持を受けているクラウドサービスSalesforceや、ERPの領域で大きなシェアを誇るSAPもクラウド対応型のソリューションを展開しており、昨今はクラウド型のシステムを利用して運用構築するケースも増えてきている。
今回はクラウド型のシステムをRPAでうまく運用するという点に着目する。

 

クラウド型のシステムをRPAで操作する場合のつまづきポイント

クラウド型のシステムがオンプレミス型のシステムと大きく異なるポイントとして「バージョンアップがベンダ主導で行われる」という点があげられる。
例えばSalesforceの場合は年3回のメジャーバージョンアップを基本として、マイナーバージョンの更新もある。
Sandbox環境を次バージョンとして一定期間公開し、各社がその期間でバージョンアップの検証を行うことになる。

RPAの性質上、システムの画面などを含めた機能を直接操作をしている場合が多く、RPAが操作する対象のシステム機能に変更があった場合は影響を受けやすい。

事例 ~ クラウド型ファイル管理システムのRPA運用

弊社がRPAの現場でクラウド型のシステムの更新のバージョンアップ対応を行った事例を1つ紹介する。
ある企業では、クラウド型のファイル管理システムを全社的に導入しており、RPAでそのファイル管理システムへのファイル操作を、Web画面の操作をすることにより自動化を実現していた。
そちらのシステムについて、年度末にバージョンアップがなされることになり、RPAの対応が必要になった。
クラウドサービスベンダから公開されたバージョンアップ後の検証環境を利用し、RPAの新バージョン環境への対応を一斉作業で実施した。
年度が替わり、本番環境でRPAを動作させたところ、一部のロボットについて正常に動作しないことが判明。
原因を調査した結果、検証環境と本番環境の画面要素が一部異なる部分があり、そこが原因で動作しなかったことが判明し、本番環境で問題箇所の改修を急ピッチで行った。

クラウドサービスベンダとしてはRPAへの影響を加味してバージョンアップをしているわけではないため、上記のような思わぬ落とし穴にはまるケースもある。

基幹業務系システムをRPAで安定的に運用する3つのポイント

変化するシステムに対して、どうRPAを運用するのかという観点で、以下の3つのポイントを紹介する。

1.RPAツールベンダー提供の仕組みを利用する

RPAツールには、特定のシステムを操作する部品やテンプレートを提供している場合がある。
例えばUiPathからはSalecforceのデータ操作を行うための部品が提供されている。

こういった仕組みを利用することで、仮にSalecforce側の変更が予定されている場合でも、UiPath側がSalecforceの変更に合わせて、UiPathのライブラリ更新がなされるため、ユーザー側は必要に応じてUiPathのライブラリの更新を行うだけでバージョンに対応できる。

  • Excel等のActivity同様に、ManagePackagesからインストールすることができる(Uiのロゴが公式のアクティビティ)

  • UiPath.Salesforce.Activitiesでは、Salesforce Application ScopeでSalesforceへの接続設定を行い、そのScope内でSales Cloudの操作(データの追加、削除、更新、取得など)を自動化処理を行うような部品が提供されている。

2.APIを使ってみよう

システムの各機能に対して、API(Application Programming Interface)が提供されているシステムもある。
特にクラウド型のシステムにはこういった仕組みが多い傾向にある。
APIは文字通りプログラムからの接続を保証する仕組みであり、バージョンアップがなされた場合でも動作を保証される傾向が高い。
画面の更新が頻繁にあるようなクラウドサービスの操作や、画面の待機時間が長く、動作が不安定なロボットについては、APIの呼び出しを検討することも安定運用の選択肢としては有効だ。

(先ほど紹介したつまづき事例についても、その反省を活かしてファイル管理システムの操作をAPIを利用して行うように改修を行っている)

例えばWinActorでは5.3.1以降で、OAuth認証をするAPIのコールを行うライブラリが提供されている。

  • ライブラリをシナリオ内に組み込むことで、APIを用いたデータ操作を行うことができる。

(※)NTTAT社からサンプルプログラムも公開されている

Blue Prismも同様にAPI呼び出しの部品は提供されており、VBOのインポートを行うことで利用が可能となる。

  • インポートされたオブジェクトの引数に必要なパラメータを受け渡すことで部品の活用が可能になる。

(※)Blue Prismで利用できるライブラリやサンプルソースは以下で公開されているので、自社で利用しているサービスのAPI部品が無いか探してみよう。

BTCでは数々のRPAツールの現場で、様々な対向システムと向き合ってきた経験をもとに、安定してロボットを動作させるためのノウハウが蓄積されている。

3.RPAを活用した業務手順の見直し

RPAはその可用性の高さから、本来は人間が作業した方が効率がいい業務や、RPA以外の仕組みで構築した方が本来的には良い業務についても、RPAの仕組みの上で実現できてしまう。
これにより、RPAで自動化した結果、かえって作業時間が膨らんでしまったり、運用に苦労するといったことも発生しうる。
RPAに向いている業務、向いていない業務を切り分けして、どの部分をRPAに担わせるのかを整理することも重要なポイントになる。

4.さいごに

今RPA開発の現場は、「まず自動化してみる」というフェーズから「しっかり運用できる仕組みとして定着させる」フェーズに移行してきている。
BTCではこれまで培ったノウハウを元に、しっかりと運用できるRPAをこれからもユーザーに届け続ける。

BTCからのご支援に興味のある方は是非以下からお問い合わせを。

https://rpa.bigtreetc.com/contact/

 

(※)本記事は、RPAが呼び出しするシステム側のAPIについては設定済みである前提で作成している。

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