オフショア開発の今後について

つい最近まで外に出れば汗を掻いていたのに、急に寒くなり冬が近づいて来ているな~と感じる季節になりました。
本記事は、オフショア開発のトレンドや今後の展望についての内容になっています。

日本のIT人材不足

近年、IT技術の発展は目覚ましいものがあり、IT業界だけでなく、事業会社の商品やサービスの開発に欠かせないものになっています。また、昨今はDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するリーダーやデジタル技術を活用した業務改善や事業を企画するというIT人材の需要が急速に高まり、人材不足に拍車をかけています。

経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」によると、ITニーズの拡大により市場規模は今後も拡大し、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると試算されています。

出所:参考資料(IT人材育成状況等について)

本記事では、そんなIT人材不足を解決する手段の一つ、オフショア開発の今後について解説します。

オフショア開発とは

ここでは、オフショア開発やその他の開発手法について説明します。

オフショア開発

オフショア開発とは、システム開発や運用保守などを海外の開発会社や海外子会社に委託する開発手法です。

オフショア開発における期待効果は、「コスト削減」「人材・リソースの確保」「品質の維持」の3点です。
 コスト削減:海外に委託することで人件費を抑えることができ、開発コストの削減が可能
 人材・リソースの確保:日本ではIT人材不足により人材確保に苦労するが、海外に目を向けることで豊富なスキルを持ったエンジニアの確保が可能
 品質の維持プログラム言語は世界共通のため、開発の仕様や要件を明確かつ具体的に提示することによりコミュニケーション問題の大部分をクリアし、品質を維持

オフショア開発における注意点は、「言語の壁」「海外との時差」「文化の違い」「情報管理」の4点です。
 言語の壁開発の仕様や要件を明確かつ具体的に提示しても、日本語でのコミュニケーションでは発生しなかった認識齟齬が生じる可能性がある
 海外との時差障害発生時等の緊急対応が時差により遅れることがある
 文化の違い仕事に関する考え方が異なることで認識齟齬が生じる可能性がある
 情報管理セキュリティ意識の違いを前提に機密情報の授受を行う必要がある 

オフショア開発以外の開発

<オンショア開発>

オンショア開発とは、システム開発や運用保守などを自社内で行う開発手法です。オフショア開発の対極に位置する開発になります。

オンショア開発における期待効果は、「迅速な開発速度」「納品物の質の担保のしやすさ」「情報セキュリティリスクの少なさ」の3点です。
 迅速な開発速度迅速にコミュニケーションが取りやすく、問題や変更が生じた場合もスピード感をもった開発が可能
 納品物の質の担保のしやすさ言語や文化の違いによる認識齟齬が生じ難く、開発にリソースを注ぎやすいため、納品物の質の担保が容易
 情報セキュリティリスクの少なさ資料や情報の受け渡しを最小限にすることができるため、情報セキュリティリスクの低減が可能

オンショア開発における注意点は、「開発コスト」と「人材リソースの確保」の2点です。
 開発コストオフショア開発やニアショア開発に比べ、エンジニアの報酬が高い傾向にあり、開発コストが増大
 人材リソースの確保プロジェクト遂行に必要となる優秀な人材を確保することが困難

<ニアショア開発>

    ニアショア開発とは、システム開発や運用保守などを首都圏より人件費の安い地方都市の開発力を活用して行う開発手法です。オフショア開発とオンショア開発の中間に位置する開発になります。

    ニアショア開発における期待効果は、「コスト削減」「コミュニケーションの取りやすさ」「地方活性化」「リスク分散」の4点です。
     コスト削減都市部と比較するとエンジニアの報酬が低い傾向にあり、開発コストを抑えることが可能
     コミュニケーションの取りやすさオフショア開発と比較すると言語の壁や時差もなく、コミュニケーションをとることが容易
     地方活性化現在日本で問題となっている都市部への人口集中に対する解決策の一つになり得る
     リスク分散災害によるリスクの分散が可能

    ニアショア開発における注意点は、「人材リソースの確保」「技術力の担保」「オフショア開発ほどのコスト削減は期待できない」の3点です。
     人材リソースの確保日本のIT人材不足に加えて、地方は人口が少ないため人材リソースの確保が困難
     技術力の担保都市部に比べて最新技術に精通している場合が少なく、高い技術力をもつエンジニアの確保が困難
     オフショア開発ほどのコスト削減は期待できないあくまで国内での賃金差分によるコスト削減に留まり、オフショア開発に比べると開発コストを抑えることは期待できない

    オンショア開発、ニアショア開発、オフショア開発の一例

    オフショア開発のトレンド

    オフショア開発の現在のトレンドについて紹介します。

    オフショア開発を依頼する国の推移

    現在、日本でオフショア開発を検討する場合に名前が挙がる国は6ヵ国程あり、中国インドベトナムフィリピンバングラデシュミャンマーです。

    オフショア開発の歴史としては、日本からのオフショア開発先の中心であった「中国」、そして欧米のオフショア開発先の中心であった「インド」の2ヵ国で始まりでした。ただ、上記2ヵ国は、年々人件費も上がり、「オフショア開発」という観点で最大のメリットである「コスト削減」は期待できなくなっています。近年は、最適なIT人材確保を目的とした「グローバルな開発体制構築」の手段として選ばれることが多くなっており、オフショア開発拠点からグローバル開発拠点に移り変わっています。

    ベトナムは、2022年現在、オフショア開発先として、人気が一極集中しています。親日国であること、勤勉な国民性、地理的な近さ、開発単価の低さが揃っていることが大きな要因になります。また、最近では、基幹システム/AIやブロックチェーンなどの先端テック系やパッケージ開発にも対応できる企業が増加している点も一極集中している理由の一つになります。

    フィリピン/バングラデシュ/ミャンマーは、ポストベトナム候補の3ヵ国として注目されています。上記3ヵ国は、ベトナムよりも開発単価は低いのですが、ベトナムに比べてオフショア開発の経験が浅いことや、経済・政治状況が不安定、インフラ整備が整っていない等の懸念があります。

    現状のトレンドとしては、フィリピン/バングラデシュ/ミャンマーと比べて、経験・実績、政治・経済やインフラの安定性があり、中国やインドと比べてコストパフォーマンスが優れていることから、ベトナムが最も人気なオフショア開発地となっています。
    出所:オフショア開発.com

    目的や案件によってオフショア開発の国を変更

    元々オフショア開発の目的は、「コスト削減」というのがほとんどでしたが、近年「IT人材リソース確保」という目的に変わってきています。その背景には日本のIT人材不足があり、優秀なIT人材を日本で確保することが難しくなってきたためです。

    コスト削減」が目的の場合、ベトナム等の国にオフショア開発を依頼する場合が多く、「IT人材リソース確保」が目的の場合、中国やインドに依頼する場合が多くなります。「IT人材リソース確保」が目的で中国やインドが選ばれる理由は、長年のオフショア開発地として選ばれてきたことにより優秀なIT人材が育っており、人口も多いことでIT人材リソースを確保しやすいためです。

    オフショア開発の今後の展望

    オフショア開発の今後の展望について紹介します。

    これまでのオフショア開発ではコストメリットを見込んでいましたが、これからのオフショア開発ではコスト低減、IT人材確保などの目的に合わせた依頼先選択が行われることが予想されます。

    これから流行る国

    これから流行る国として考えられるのは、前述のポストベトナムとして注目されているフィリピン/バングラデシュ/ミャンマーが挙げられます。この3ヵ国がオフショア開発地として経験や実績を徐々に積んでいき、政治・経済が安定していけば、コスト削減を目的として、現状のオフショア開発地のトレンドであるベトナムから移り変わっていくことが考えられます。

    IT人材確保が目的の場合、現状コスト削減という目的でトレンドであるベトナムが、中国、インドに続いてグローバル開発拠点の一つになっていくと考えられます。

    国ではなく都市単位で考えるようになる?

    今までは、国単位でオフショア開発地を紹介してきましたが、今後は都市単位で選ばれるようになるのではないかと考えられます。オフショア開発とニアショア開発を合わせたような考え方です。

    日本でも東京と地方では、人件費や栄えている産業が異なるように、海外でも都市によって、状況が異なります。実際ベトナムでも、ハノイは日本企業をターゲットにするオフショア開発企業が多いのに対して、ホーチミンは欧米をターゲットとする企業が多かったりします。

    上記例は、コミュニケーションの観点によるものと考えられますが、コストであったり得意とするスキルによっては、都市単位での選択にトレンドが移る可能性もあるのではないかと考えられます。

    最後に

    本記事ではオフショア開発の今後について解説しました。

    オフショア開発のこれからのトレンドとして、コスト面でフィリピン/バングラデシュ/ミャンマーの3ヵ国が有望である一方、最適なIT人材確保にはベトナム等の他の国を選択することも求められ、さらに得意としているスキルによって都市単位での選択にトレンドが移る可能性があると考えられます。オフショア開発は、日本のIT人材不足を考えると、これからより盛んになっていくことは間違いないでしょう。

    ただ、実際にオフショア開発を行おうとしてもコミュニケーション方法が分からない等の課題を感じ、なかなか一歩踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
    弊社では、ベトナムとオフショア開発を行っており、サービス品質を維持したままコスト削減を実現できます。

    詳しくは以下をご参照ください。

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