RPAの管理でロボットをフル活用できるように!

はじめに

みなさん、こんにちは。11月に入り気温がぐんと下がり冬に向かっているのだと感じるようになりましたね。コロナウイルスの最初の報道は2019年12月31日ということで実はコロナとともに生きる生活の始まりからもうすぐ1年が経とうとしています。

 

さて、コロナが猛威を振るい始めて以降多くの企業では働き方が大きく変わったのではないでしょうか。筆者は変化として、これまで働き方改革の推進の1つとして注目を集めていたRPAを導入する企業が増えたように感じています。しかし、最近では、RPA導入し業務を多数RPAに行わせるようになってから業務の効率化は進むものの、RPAの管理をどうすればよいのかという新たな課題の声が聞こえるようになってきました。

 

そこで、今回はRPAの管理について紹介し、ロボットを活用する方法についてお話したいと思います。

 

 

 

RPAの管理課題

働き方改革の推進に伴うRPAの増加と、昨今の在宅勤務増加が相まってRPAの管理の課題が増えてきました。

筆者が特に聞かれるのは、下記の3つです。

 

  • ロボットのスケジュール実行ってできるの?
  • ロボットのソース管理ってどうやるの?
  • 稼働状況の把握やROI算出に使えそうな情報は残るの?

 

これらの課題はそれぞれに対して、いくつかの解決策があります。

 

  • ロボットのスケジュール実行ってできるの?

>例えばこの課題であれば、導入しているRPAツールのライセンス規約による制限に注意が必要ですが、もしライセンス違反にならないのであればスケジュール実行するロボットの実装という方法があります。しかし、この方法については、RPAツールのライセンス規約上、禁止している場合もあるので必ずしもできるとは限りません。

 

  • ロボットのソース管理ってどうやるの?

>こちらの課題であれば、Javaソースなどと同様にGitによるソース管理をすることも可能です。もちろん外部ツールを入れてからの導入であり、RPAツールのみでの管理とは異なってしまいますので少し手間に感じるかもしれません。

 

  • 稼働状況の把握やROI算出に使えそうな情報は残るの?

>こちらの課題の場合は、RPA実行時に生成される実行ログやエラーログを集計することで、「稼働時間」や「エラー発生率」、「処理件数」を分析することができます。とはいえ、大量のログの中から必要な情報を取得して集計するといった手間が発生してしまいますし、一目でほしい情報を確認できるという訳ではありません。もちろん、マクロやシェルを使って効率的に収集する工夫もありますが、自分たちで作りこまなくてはいけないので手間はかかるでしょう。

 

では、「こういった課題についてもっと簡単な解決方法はないのか?」と疑問に思う方も多いと思います。

そこで、今回のコラムでは、上記の課題を解決できるRPAの一元管理機能、ツールについて企業での導入事例の多い「UiPath社」と「Blue Prism社」に絞って紹介しようと思います。

 

 

RPA管理機能とツール

今回ご紹介するRPAの管理機能とツールは「UiPath社のSaaS版Orchestrator」「Blue Prism Cloud」です。「SaaS版」や「Cloud」という言葉から分かるようにオンプレミス版もあります。そこで、まず「SaaS」と「オンプレミス」の特徴について触れておこうと思います。

※SaaS:ソフトウェアを利用者(クライアント)側に導入するのではなく、提供者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用する状況

 

比較項目オンプレミスSaaS
社内方針■プライベートネットワークで運用したい
■既存資産をそのまま利用したい
■自社で詳細な運用設計をしたい
■社内ITのクラウド化を進めている
■数台のロボットでOrchestratorを使いたい
■コストを抑えてすぐに利用したい
導入コスト

■本番環境、検証環境用のOCライセンスが必要
■HWの購入かつ構築費用もかかる

⇒導入コストは高い

■インスタンス毎のOCライセンスが不要
■HWの購入・構築が不要

⇒導入コストは低い

導入スピード■HWの選定から調達、構築までの時間がかかる
■精緻なサイジング必要
■インターネットがあればすぐに使用できる
■サイジングは不要
運用コスト■運用コストが変動(運用方法による)■運用コストが固定(ライセンス費用のみ)
セキュリティ■社内の閉じたネットワーク環境を利用できるため、セキュリティリスクは低い■インターネットを介してアクセスする必要がある
最新性■自社判断でアップデートが可能
■リアルタイムで最新機能は使用できない
■自動的に最新版がインストールされる
■ソフトウェアバージョンの互換性の確認が必要

 

さて、ここからが本題の「RPA管理機能とツール」についてのお話です。UiPath社のRPA開発・実行ライセンスであるStudioやRobotには一元管理機能が搭載されていないためUiPathを導入している場合は「Orchestrator」というツールが必要になります。Blue Prismの場合は、サーバー型RPAツールのためBlue Prism自体に管理機能が充実しています。今回は特に「SaaS版Orchestrator」と「Blue Prism Cloud」を取り上げそれぞれの機能を表にまとめました。

 

機能名SaaS版OrchestratorBlue Prism Cloud
ログイン情報集中管理■ログイン情報をサーバー側で管理する
「アセット」という仕組みがある。
⇒ロボットごとに値を変更できるが、管理者が資格情報を設定する。
■標準で集中管理の仕組みを持っている
 ⇒ユーザー名/パスワードを1セットとしてログイン情報を設定するため、複数のユーザー名/パスワードを使用する場合は認証情報を複数セットする必要がある。
ロボットの状態監視■ロボットの稼働状況がOrchestratorの管理画面上に表示される。
⇒エラー時のユーザーへの通知はメール送信機能をロボットに実装必要

■ロボットの稼働状況がBlue Prismの管理画面上に表示される。

⇒エラー時のユーザーへの通知はメール送信機能をロボットに実装必要

ログの管理と閲覧■ログの収集機能がある
⇒ただし、ログが削除できてしまう
■ユーザーが使ったデータの記録まで含め、細かくログが取れる
⇒しかし、ログがたまりすぎるとサーバーを圧迫して動きが遅くなるため出力するログを工夫する必要がある
ロボット実行のスケジューリング■Orchestratorを導入して初めて可能となる■デフォルト機能としてスケジュール実行可能
ワークロード分散/
キューイング
■キューあり■Work Queueあり
ROI算出/高度な可視化■Elasticsearch・Kibanaを使い可視化■Process Discovery Toolを使い可視化
ロボットの組織内共有■Git/TFSを利用し実現可能■ソースコードがサーバー上にあるため意識せず共有可能
ロボットのバージョン管理■Git/TFS/SVNを利用し実現可能■ソースコードがサーバー上にあるため意識せず共有可能

 

冒頭で挙げた課題の解決だけでなく、管理する上で便利な機能が複数あることがわかります。

 

下記は「Orchestrator」導入イメージと「Blue Prism」の導入イメージです。

 

 

 

おわりに

今回はRPAの管理についてお話をしました。ご紹介した「SaaS版Orchestrator」「Blue Prism」にはそれぞれメリット、デメリットがあると思います。一見すると機能がたくさん備わっている「Blue Prism」ですが機能が多いあまり、使いこなせない場合もあり、運用や開発に関するガイドラインの策定も重要なポイントになると思います。また、UiPathの場合は「Orchestrator」というツールをロボットとは別に持たせることにより、管理者が使いやすいといった良さもあります。

RPAの管理方法を検討する際には、ぜひ機能やツールの比較を行いメリット、デメリットを考慮したうえで最適なものを選んでもらえることを願っています。

 

RPAの導入、管理について詳しく知りたい方はこちらからお問い合わせください。

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