”クラウド・バイ・デフォルト原則”とRPAについて考えてみた

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    2019/09/03

昨今、クラウドが隆盛の中、RPA界隈にもクラウド化の波が押し寄せているように感じます。例えば、RPAが操作するシステムがクラウド化(AWS上に構築されている基幹システムなど)されたり、RPAのツールが稼働する環境がクラウドという話もよく聞きます。

最近ではクラウドで提供されるRPAサービス※1も存在しており、RPAとクラウドは切っても切れない関係となってきました。

また、2018年に政府から”クラウド・バイ・デフォルト原則”が打ち出されたことで、一般企業と同じように官公庁でも、今後クラウド化の波は大きくなっていくと予想されます。

弊社のRPA事業部として、この”クラウド・バイ・デフォルト原則”に伴い、クラウド化の動きがRPAにどのように影響するのか、少し考えてみました。

 

※1「クラウドで提供されるRPAサービス」とは?

クラウド型RPAと言われているものです。

【特徴】

クラウド型RPAとは、インターネット上のクラウドサービスにログインし、そのクラウド環境にソフトウェアロボットを導入して、Webブラウザ上での作業を自動化させるツール。

メリット:環境構築などがないため、比較的安価にスピーディーに導入可能

デメリット:自動化できる範囲がWebブラウザ上での作業に限定されるため、クラウドサービス以外との連携は難しい。

 

【RPA型クラウドの種類】

現在、以下の2つが実績などを見ても良いのではと思います。

①BizteX cobit(BizteX株式会社)

国産RPAであり、日本語対応。最短即日でRPAを社内に導入可能。

ロボット数は無制限だが、処理数により契約料金が異なる。

 

②Robotic Crowd(株式会社チュートリアル)

シンプルなUIで見やすく、RPAを使っている時に起きる問題として、ロボが稼働している時にPC操作ができない問題を解消。PCの操作をしながらロボットを稼働させたりPCを閉じていても動作させることが可能。

クラウド・バイ・デフォルト原則とは?

2018年6月に政府が決定した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」で明記されており、要約すると、政府情報システムの構築・整備に関しては、クラウドサービスの利用を「第1候補(デフォルト)」として考えよう!というものです。

この”クラウド・バイ・デフォルト原則”の背景を以下に簡単にまとめます。

【背景】

政府は、少子高齢化に対応した持続的な経済発展を成し遂げるためには、AI、ロボット、IoTなどを活用した新しい社会「Society5.0」の実現(生産性革命)を提唱しています。

一方で、行政サービスのデジタル化、いわゆるデジタルガバメントの推進が著しく立ち遅れており、行政分野における取り組みの立ち遅れは民間ビジネスの生産性に多大な影響を与える、という危機感を持っています。

民間ビジネスの生産性向上や新ビジネス創出に必要な環境を整備していくためにも、行政分野におけるデジタル化の取り組みは、待ったなしの課題となっていました。

行政のデジタル化の実現には、クラウドが欠かせず、クラウドを適切に活用することで、情報システムの迅速な整備や柔軟なリソースの増減のほか、自動化された運用による高度な信頼性、災害対策、テレワーク環境の実現などコストを削減しながら進められます。

これまで、民間企業と同様に政府情報システムにおいてもクラウドが多くの課題解決に役立つと期待されながらも、情報セキュリティや移行リスクへの漠然とした不安や不十分な事実認識などが原因でクラウド利用に前向きではなかったというのが実情でした。

そうした状況を打破するために提唱されたのが、“クラウド・バイ・デフォルト”原則です。

 

この”クラウド・バイ・デフォルト原則”に伴い、いったい何がどう変わるのか?

 

”クラウド・バイ・デフォルト原則”が与える影響

行政機関が今後システム導入やマイグレーションを行う際、下図のような方針・フローで検討を行うこととなります。

クラウド・バイ・デフォルト原則 検討ステップ

 

このように、上位のクラウドサービスを利用する程、資産を有さないため運用・保守が楽になり、コストが抑えられます。

 

※参考:”XaaS”を簡単にまとめた概念図

 

実際に、Amazon Web Service(AWS)を中心に今までオンプレミス環境での運用が主流だった企業のメインシステムをパブリッククラウドに移行させる動きが加速しているようで、クラウド市場の今後の拡大が予想されています。

下図では、2018年度のクラウドサービス市場全体の規模は約1兆9,422億円だが、2023年度には4兆4,754億円まで拡大することが見込まれ、このうち、パブリッククラウド市場は2018年度が6,165億円で前年度比34.1%増。2023年には1兆6,490億円の市場規模に達し、2018年からの年平均成長率は21.7%と予測されています。

※掲載元:MM総研「2019年国内クラウドサービス需要動向調査」

 

クラウド化は順調?RPAの利用価値とは・・・

民間ではすでにクラウド化は当たり前の感じがしますが、行政も”クラウド・バイ・デフォルト原則”を掲げているため、今後、ますますクラウド化が進むと予想されます。

ただし、クラウド化に踏み切れないという企業や機関もまだ多く存在するのが実情です。

 

例えば、

1.自社システムのクラウド化を行うのはいいが、セキュリティや安全性評価基準などが確立されていない(民間のものならあるが、行政主体のものはない)ため不安が残る。
 ⇒機密情報があり、クラウド化できない。

2.データの連携ができず、クラウド化できない箇所がある。

などです。

上記、1.のセキュリティ性や安全性評価基準については、今後の向上を期待(この問題は、ハッカーとのイタチごっこの気もしますが・・・)したいと思いますが、2.については、RPAを利用して補うことで可能だと考えます。

 

弊社も以下の様なクラウド×RPAの活用事例がありました。

  • 複数のクラウドサービスを利用しているが集計業務で、各サービスでデータが共有できないため、クラウド化によりデータをダウンロードしてインポートするという手作業(毎日)が増えたため、複数のシステム間のデータ連携をRPAで自動化。
  • 名刺サービス利用に伴うデータ移行が膨大でクラウド化をためらっていたが、RPAでデータ移行を自動化し、クラウドシステム利用のデータ構築を実現。

 

最後に

今回、”クラウド・バイ・デフォルト原則”という切り口からクラウドの状況やRPAを絡めて考察してみましたが、この方針が決定してからまだ日が浅いため、クラウド化としては全体的な方針だけで詳細な基準や制度は少しふんわりしていると感じました。ただ、今後さらにクラウド化の勢いが大きくなることは必然であり、クラウド絡みのRPA案件も増えていくため、クラウド環境で稼働するRPAのセキュリティ性や安全評価の基準整備は必須になってくるのかと思います。弊社のRPA事業部としても、今までのナレッジをもとにこの観点でクラウド化の基準等、整備していきたいと思います。

また、データのつなぎとしてだけではないクラウド×RPAの利用価値も引き続き探していきたいと思います。

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