RPAを用いてSAP S/4HANAへの移行インパクト軽減の可能性を探る

SAP2025年問題とは

 突然ですが、SAP2025年問題について皆さんご存知でしょうか。SAP ERPといえば、言わずと知れた世界No.1のシェアを誇る基幹システム製品です。1992年に前身となるSAP R/3が登場してから20年以上にわたりバージョンアップを重ねてきたSAP ERPですが、この保守サポートが2025年に終了します。このサポート終了に対してユーザ企業がどのように対応するのか?が「SAP2025年問題」です。

 対応方針はざっくり以下の3つにまとめられると思います。
 ①現状のSAP ERPを使用し続ける
 ②新しいバージョンであるSAP S/4HANAへ移行する
 ③他のERP製品を検討する

 ①については、2025年に終了するのはメインストリームサポートでありセキュリティプログラムは当面継続して提供されるため、2025年に即セキュリティリスクに晒されることはないと考えられますが、いずれはその先の検討が必要です。またそもそもSAP ERPを導入される際に他製品と比較した上でSAPを選択したケースが多いと考えますので、恐らくは③よりは②を選ばれる企業が多いのではないでしょうか。

 とはいえ、SAP ERP とSAP S/4HANAは全く異なる仕組みで稼働するため、単純なバージョンアップというわけにはいかず、企業には大きな負担が発生すると予想されます。また国内約4000社ともいわれるユーザ企業のほとんどがこの問題に対応することになれば、SAPコンサルタントの奪い合いになり、移行スケジュールに影響することが想定されます。本コラム執筆時点(2019/7)からサポート終了まで約6年ありますが、実は残された時間は多くはありません。

 

HANAへの移行で気を付けるべきは、アドオン開発の取り扱い

 SAP S/4HANAへの移行に際し、大きな問題になるのがアドオンの取り扱いです。アドオン開発部分においてABAPで書かれた命令文がSAP S/4HANAでは動かないケースがあり、その場合は、改めて同じ機能を開発するか否かの判断が必要です。ビジネスプロセスの見直し等で極力不要なアドオンを減らせたとしても、SAP S/4HANAの中だけで現状と同じ業務を実現しようとすれば、ある程度のアドオン開発は避けられないでしょう。以下では、アドオン開発されることが多い機能を大きく4つに大別してみました。

 A、帳票系の開発
  見積書・請求書などの社外向け帳票、社内の業務管理用帳票など
 B、画面系の開発
  異なる部門・業務・目的ごとに開発する入出力画面、集計レポート作成画面など
 C、インターフェース関連開発
  他システムとの連携機能など
 D、ロジックに関する開発
  企業固有の業務処理など標準機能では対応できない要件に対する開発

 改めてアドオン開発を行えばコスト的な負担は当然大きくなります。また、開発したプログラムの内容がベンダーによってブラックボックスになっている場合は、そのベンダーしかメンテナンスが実施できないため、ベンダーロックインの危険性もあります。

 

RPAで何ができるか?

 前述のアドオンに関する問題について、RPAを使った解決の可能性を探ってみます。

アドオンに要するコストの軽減

 ご存じの通りRPAは単純な作業をロボットに代行させて自動化するツールです。前述の4つのアドオンパターンのうち、A、B、CはRPAによって代用できる可能性があります。

 帳票系であれば、作成される帳票は、常に同じフォーマット・同じルールで作成される場合が多いと考えられるため、SAPからデータをダウンロードして所定のExcelテンプレートに転記する作業を、RPAによって自動化することができると考えられます。

 画面入力系であれば、わざわざ部門ごとの画面を作らなくとも、標準画面へのデータ入出力をRPAによって行わせたり、集計レポートをRPAで作成することもできます。

 他システム連携についても、「システムからのデータ出力」→「データ加工」→「他システムへの登録・更新」の流れを日次・月次で行う処理をRPAで開発すれば、アドオンの開発を行わずとも要件を満たせると考えられます。

ベンダーロックインの回避

 RPAであれば、処理の流れやロジックをRPAツール内の画面から確認・修正できるため、プログラムがベンダーによりブラックボックス化される危険性はありません。もちろんRPAで作成された処理を修正するためには、RPAに関する専門の知識が必要となりますが、弊社の「RPAドクター」サービスであれば、他社やお客様ご自身が作成したロボットを診断し、巻き取ることも可能です。

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まとめ

 今回のコラムでは、SAP S/4HANAへの移行に際して発生する可能性の高い問題について、RPAを使って解決の可能性を検討しました。SAP R/3やSAP ERPがリリースされた時代にはRPAの概念は存在せず、結果としてアドオン開発しか選択肢がありませんでした。しかし、現在ではRPAを用いた業務の自動化が隆盛を極めています。

 SAP S/4HANAへの移行を検討するにあたり、本コラムが、なるべく移行のインパクトを少なくしたり、現バージョンでの課題を少しでも解消するための検討の一助になれば幸いです。

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