オンプレ?クラウド?SaaS? ~ビーフ or チキン?で決めたいサーバー型RPAのインフラ構築~

はじめに

まだまだ寒い日が続きますね。
昔データセンターで作業していた時に、サーバーの排熱で暖を取っていた頃を思い出します。
最近のサーバーは熱効率がいいので、そんなことをする機会は少なくなってきました。
 
今回はそんなディープな内容ではなく、様々なサーバー型RPA(※1)のインフラ構築をしてきた実績を元に、サーバー型のRPAを導入するにあたってインフラ構築で悩んでいる人のためになればと思い整理してみました。
 
※1 ・・・サーバー型RPAとしては、Automation Anywhere、BizRobo!、Blue Prism、UiPathOrchestratorなどが挙げられます。
 

主なサーバ型RPA導入検討理由

 
インフラ構成を検討するにあたって、サーバ型RPA導入理由をお客様にお伺いしてから最適なご提案が出来るようにしておりますが、その時によくお聞きする導入理由としては、
  1. RPAの導入検討を重ねてきた結果、きちんと管理統制が出来るサーバー型RPAを導入したい。
  2. デスクトップRPAを導入してきたが、全社に本格展開することになったのできちんと管理統制出来るサーバー型RPAを導入したい。
  3. 既にサーバー型RPAツールを導入しているが、会社で複数のツールがあるので1つのツールに集約したい。
といったような声を頂くことが多いです。
ツールのリプレイスする場合も含めて、サーバー型RPAを導入する場合はどの様な環境でインフラを構築するのがよいか評価する必要があります。
 

オンプレ/クラウド/SaaSで構築する際の評価比較表

今回のコラムではサーバー型RPAツール毎の機能については触れておりませんので、そちらが気になる方は以前のコラムと合わせてご一読頂ければ理解が深まるかと思われます。
 

表で整理する前に言葉の定義をしておきます。

オンプレ:物理サーバー、仮想サーバー、プライベートクラウドを表します。基本的にインフラ資産を保有するのはオンプレに分類しております。
クラウド:AWS、Azure、GCPといったパブリッククラウドを表します。
SaaS:Automation Anywhere社が提供する「Automation Anywhere Enterprise A2019(Cloud版)」、Blue Prism社が提供する「Blue Prism Cloud」、UiPath社が提供する「UiPath Automation Cloud」などのRPAツールベンダーが提供するクラウドサービスと、SIer企業が独自に管理しサービスとして提供する形態を表します。

・凡例
◎:通常の評価に加点
○:通常の評価
△:一部制限ありなどで通常の評価から減点

評価が影響するフェーズ評価観点オンプレクラウドSaaSコメント
導入導入コスト
オンプレは物理サーバーの調達コストがかかるため△と評価。
SaaSはオンプレ版のライセンス費+インフラ費用となるため導入コストとしては増加することが多い。
納期SaaSはサーバー型のインストール作業が不要となるため◎と評価。
災害対策向けサーバー構築SaaSは冗長化済みだが、細かい構成は非公開。
運用可用性オンプレとクラウドはインフラ構成次第だが、クラウドの方が可用性要求レベルに変更があった際の対応が柔軟にできる。
SaaSは冗長化とされていることが多いが、SLA(※2)が明記されていないことがあるため○と評価。
運用コストSaaSはサーバーのパッチ適用などのメンテナンス作業が不要。その分ロボットの開発に注力できる。
セキュリティオンプレ版は自社のセキュリティポリシーに準拠させるのが容易。
利用出来る機能SaaSはツール次第だが、機能に制限がある。
安定バージョンの利用SaaSは最新版のバージョン利用が前提となるため、合わせてロボットのバージョンアップも必要となる。
メンテナンスタイミング調整クラウドも利用サービスによっては定期的なサービス利用不可時間有り。
保存されるログの期間クラウドはストレージの拡張が容易なため◎と評価。
利用拡大スケールアップ・スケールアウトSaaSは自動的に管理される。
 
※2 ・・・Service Level Agreementの略で、サービス品質保証とも訳されます。サービス提供とサービス利用者の間で合意するサービスの品質のレベルのことです。
 
仮に◎を3点、○2点、△を1点とすると
合計がオンプレ22点、クラウド27点、SaaS23点と僅差であることが分かります。
SaaSは本格的なサービス開始が昨年であったことから、現在は△の項目も今後の伸びしろに期待は出来そうです。
 

迷った時のオススメ採用方式

データセンターを自社の管理下に置かれたいお客様。

もしくは、RPAがミッションクリティカルなシステムとなりメンテナンス時間を自社でコントロールされるニーズがあるお客様。

→そんなお客様はオンプレでの構築がオススメです。

 

RPAをスモールスタートで始め、今後利用拡大をご計画されているお客様。

もしくは、基幹システムのサーバーが同じクラウド上で稼働しているお客様。

→そんなお客様はクラウドでの構築がオススメです。

 

手軽にサーバー型RPAを導入し、RPAの導入に関してスピード重視されているお客様。

もしくは、システム運用をアウトソーシングされたいお客様。

→そんなお客様はSaaSの利用がオススメです。

 

おわりに

サーバー型RPAのインフラ構築に関して比較表を用いて評価してきましたが、100%の正解が無い所がインフラ構築の大変さでもあると同時に腕の見せどころと筆者は考えております。

ここまでお読み頂いた皆様であれば「実際に採用されるインフラ構成はどの構成の割合が多いのか」と興味が湧いていることと思われます。

残念ながら大人の事情により細かく数字をお出しすることは出来ませんが、昨年のサーバー型RPAのご提供実績として、一番多い構築のパターンとしては「クラウド」となります

サーバー型RPAを導入されるお客様の傾向として、
  1. 素早く案件の立ち上げを行いたい(1~3ヶ月程度)
  2. 少しずつスケールアップを行いたい(最初は5ロボット未満からスタート)
  3. 予算がギリギリなため、保守は自社内で実施する(最初はロボットも少なく、保守の負担も少ないことから)

ことが多いため、選択肢の候補としてはクラウド or SaaSとなります。
導入コストを抑えるためにSaaSが選択肢から外れて、RPAの拡大と共に今後インフラもスケールしやすいクラウドで構築をしたいというニーズがある印象です。

ご参考までに、一番シンプルなAWSの構成図と料金を載せておきます。

AWSのランニングコストは概算で月10万程度となります。(コストの大半をライセンス費用込みのマネージドサービスのDBサーバが占めます。インスタンスタイプはAPサーバーはWindowsライセンス込のt3.large、DBサーバーはAmazon RDS for SQL Serverのdb.m5.largeのインスタンスサイズで算出しております。)
 
弊社では短納期のシンプル構成だけで無く、お客様のニーズに応じてコストを抑えつつも障害に強い構成など幅広く実績がございますので、RPAツールの選定から含めたインフラ構築の相談お待ちしております。Web会議でお会いできます事を楽しみにしております。
 

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