RPAが早くも幻滅期を脱出?RPAのその先を導入事例で考察する
皆さん、こんにちは。最近はだいぶ涼しくなり、東京にも秋がやってきましたね。
今年、2020年は、コロナの年といってもよい程、世界中が感染症に関する話題で持ちきりだった年ではないでしょうか。(10月に1年を締めくくるにはちょっとまだ早いかもしれませんが。。)
この1年、毎日のようにコロナのニュースが流れ、その度に自身の健康について見直したり、意識させられる機会が多かったと思います。
ところで先日、ガートナーから「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」が発表されましたね。発表によると「ロボティック・プロセス・オートメーション」と「デジタル・ヘルス」が幻滅期の谷底を脱し、本格的な普及期に入ったとのことです。
RPAは自動化、すなわち人の介在を減らすもの、デジタルヘルスはヘルスケア全般のデジタル化、ということでコロナとセットで取り上げられることが多く、その2つが幻滅期を抜け出したようです。
引用:日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年
今回はそのコロナによってハイプサイクルにおけるRPAがどのように遷移したか考察したいと思います。
ハイプサイクルについて
まず、ハイプサイクルとは、テクノロジやサービスなどが実際のビジネス課題の解決や新たな機会の開拓にどの程度関連する可能性があるか = 期待度を時間軸で表現したもの、としており、ガートナー社による造語です。
- 「過度な期待」のピーク期
- 幻滅期
- 啓発期
- 生産性の安定期
RPAの軌跡
昨年11月に、RPAが幻滅期に突入というガートナーの発表に関する記事を掲載しましたが、そこから1年経たずに幻滅期を脱出し、普及していくフェーズへと移行したようです。
これまで過熱気味に語られていたRPAのメリットや効果について、導入してみたもののあまり実感がなかった、メンテナンスに予想外の負荷がかかった、と人々が感じていたような状況から、より効果的な利用方法が確立されつつあるということです。昨年発表時には、コロナという因子は想定に含まれていなかっただろうことを考慮すると、デジタルヘルス同様、普及にあたってコロナが大きな後押しとなったことは想像に難くありません。
そこで、今回のコロナをきっかけにRPAが活用された事例を挙げてみます。
事例
- UiPath社が内閣官房と新型コロナウイルス感染症関連対策に関するRPA及びAI等の活用のための共同取組に関する協定を締結
国家レベルでのコロナ対策としてRPAが採用されました。これ自体は具体的な導入事例ではありませんが、国を挙げてRPAに取り組むという力強い宣言です。
この協定では、以下のようなことがRPAには期待されております。
(ア)公的機関、民間事業者等を問わず、人手による手作業を自動化し、迅速かつ正確な処理を
実現しつつ、働く人の負担を軽減し、職場でのクラスターの発生を防止する
(イ)事業所で実施せざるを得ない業務のロボット等への代替により、テレワークの範囲を広げ、
在宅勤務や時差出勤を促進し、出勤頻度の抑制を図る
(ウ)コロナの時代の新たな日常においても、効果的なテレワークやローテーション勤務等の
新しい働き方のスタイルを推進して、人々に多様な働き方を提供すると同時に、地方での
就業及び活性化を図り、日本経済の迅速かつ力強い回復に寄与する
人の介在を減らすことで、物理的に解放し、テレワーク等新しい働き方を推進する。まさにRPAが得意とするものですね。通勤電車を見渡しても、かつてのような満員電車よりかは幾分過密さも減っておりますし、時差出勤など新たなの働き方の一助になっているかと思います。
リンク:UiPath社が内閣官房と新型コロナウイルス感染症関連対策に関するRPA及びAI等の活用のための共同取組に関する協定を締結
- 茨城県の新型コロナウイルス感染拡大防止協力金支給業務の自動化
2019年度から20業種にRPAを導入していた茨城県では、財務会計システムを利用するRPAを新型コロナウイルス感染拡大防止協力金の支給にも活用し、業務を自動化しました。いわゆる横展開と呼ばれるRPAの活用方法ですね。RPAでどのようなことを自動化しているのかをよく理解していなければできないことです。
ゼロから構築するのに比べ、骨組みを利用できることから、開発コストを抑えることができ、投資に対してリターンが大きい活用方法になります。
リンク:茨城県の新型コロナウイルス感染拡大防止協力金支給業務の自動化
茨城県の新型コロナウイルス感染拡大防止協力金支給業務
- 奄美市の特別定額給付金支給業務の自動化
NTTデータ社が無償提供したソリューションを活用し、職員が自らOCRまでチューニングを行い、口座情報入力のデータ投入作業を自動化しました。5月15日に導入を開始してから2週間もかからず運用を開始したようです。5月1日から給付金のオンライン申請が開始されてから、1月も経っておりません。
RPAのアジリティの高さに加え、ユーザーがRPAというものに馴染んでいた素地があったことで実現できたものでしょう。
奄美市の特別定額給付金支給業務
下図は、「総務大臣メール(第4回) 令和元年7月2日」より一部引用した図になります。総務省が「自治体DXモデル」として、今後の業務のあるべき姿を定めており、今回の奄美市の例を図に当てはめてみると、手書きの申請書をOCRで電子データとして取り込み(①)、電子データ化した情報をRPAで給付金システムにデータ投入(②)させています。
考察
今回は官公庁での導入事例を紹介させていただきましたが、その中でもユーザー主導の自主開発であったり、横展開、といったRPAの持ち味を生かした事例がありました。筆者自身も実業務の中で、顧客から内製化したいといった話や、横展開に関する問い合わせを受ける機会が増えたように感じます。同時にRPAとは何か、といった説明を要することなく、何をどのようにRPA化するか、といった具体的な話にすぐ入るなど、RPAが浸透していることも実感します。ユーザー誰しもがITベンダーの助力なく、独力でRPA化するというのはまだ難しいかもしれませんが、その兆しは確実に成長しています。
このようにユーザーがRPAに馴染み、RPAでできることを自ら思いつき、自動化の効果をイメージしながらRPAを導入していく。それが「生産性の安定期」なのだと思います。
BTCでは、お客様の業務改善や自動化の支援をしております。
気になる点等ございましたら、お気軽にご相談ください。
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