SkyPDFの紹介 ~年末調整業務の効率化~

1. はじめに

昨今の社会情勢により、多くの企業は在宅での勤務形式へと変更し、それに伴い書類の電子化が推奨されてきました。

そんな中、電子化された書類であるPDF(Portable Document Format)を簡単に編集したり、送受信したりする機能を含むツールのニーズが、かつてないほど増してきました。

そこで今回は、株式会社スカイコムが出している上記PDFの編集機能が搭載された代表的アプリケーションであるSkyPDF Professionalの基本機能について前半で説明し、後半ではそのWeb APIを用いて作成したデモサンプルアプリを基に、通常業務の効率化を行ったデモンストレーションを紹介します。

 

 

2. PDFのメリットについて

ところで、日常的に使用しているPDFについてですが、なぜ書類がPDFである必要があるか、意外とご存じでない方もいらっしゃるかと思います。まずは書類をPDF化する目的およびメリットについて述べたいと思います。

 

PDF化の目的

PDF化の目的は、情報の配布・交換・蓄積を電子的に行なうためとなっており、

それを行ったファイルの形式をPDFと呼んでいます。

 

PDF化のメリット

書類をPDF化するメリットは大きく分けて、以下の4つが考えられます。

 

1.開く機種やOSを選ばず、ほとんどの端末で閲覧可能

2.パスワード制限や暗号化が可能で、セキュリティの面でも安全性が高い

3.特別なアプリケーションがなくてもWordExcelなどから作成が可能

4.ファイルサイズが小さく、ダウンロードも早く、メールで送付もしやすい 

 

こういったメリットが存在する中、SkyPDFではこれらを生かした機能を含んだ製品がいくつも存在します。代表的なものをいくつか紹介します。

 

 

3. SkyPDF Professionalについて

SkyPDF Professional 7とは、株式会社スカイコムが開発・販売するPDF作成・閲覧・編集用の代表的なソフトウェアです。元となっているSkyPDF Standardに加え、高度なPDF編集機能が備わっています。

(https://www.skycom.jp/product/skypdf/professional_7/ )

3.1. 標準機能について

SkyPDF Professional 7にて使用することができる主な機能を4つ紹介します。

1.PDFの閲覧

PDFを読み込み/追加する」のボタンからPDFを追加すると、中身を閲覧することができます。

 

 2.書き込み

閲覧しているPDFへ図形や画像の挿入、およびペンベースでの書き込みが可能となっております。

 

 3.結合

二つ以上のPDFファイルを一つに結合することができます。これには、SkyPDF Utility(変換ユーティリティ)という機能を使用します。

 

 4.分割

上記結合とは逆に、一つのPDFを二つ以上のファイルに分割することも可能です。同様に、SkyPDF Utilityを使用します。

 

 5.フォームフィールドの追加

「フォーム付きPDF」の作成を行うことができます。「フォーム付きPDF」とは、PDF内に値を記入することができる領域であるフォームフィールドを多数盛り込んだPDF(以下の画像を参照)を指します。

 

御覧の通り、オレンジにハイライトされたフォームフィールドが記入可能な箇所のうち、現在アクティブになっている箇所になります。

SkyPDF WebAPI使用のデモサンプルアプリより)

 

その他にも、テキストボックス、ラジオボタン、チェックリスト、ドロップダウンやリストボックスなど多様なフォームフィールドの形式が存在し、アプリによっては、入力範囲や桁数等を制限することができる場合もあります。

 

これらのフォーム付きPDFの作成の需要は、オンライン上での申請や書類の提出の増加に比例して、増えております。

 

3-2. 拡張機能について

SkyPDF Professional 7では上記に記載した内容に加え、以下のような拡張機能を追加することができます。

 1.SkyPDF 印鑑作成7

ペーパーレス化を進める上で、捺印処理の存在が弊害になってしまうことがあるかと思います。しかしSkyPDF 印鑑作成7を用いることで、PCを使用した捺印を簡単に行うことができます。PDF印鑑(電子印鑑)ファイル作成時に顔写真と自署を所有者情報として登録することができ、捺印時に登録される情報と目視照合し本人であるか確認することができるようになりました。

(https://www.skycom.jp/product/skypdf/inkansakusei_7/)

 

 

 

4. SkyPDF WebAPIについて

今までSkyPDFの代表的なソフトウェアについて紹介してきましたが、ここからSkyPDFWebAPIについて説明します。こちらはその名の通り、株式会社スカイコムが所有しているPDF技術を利用することができるWebAPIであり、SkyPDFサーバー製品・開発キットになります。つまり、アプリケーションそのものが必要な場合は、WebAPIを用いた開発が必要となります。

 

SkyPDF WebAPIの特長としては、既存システムのアプリと連携し、高度なデータ活用を実現できる点になります。

これによりPDFファイルの作成・編集・変換等を行うことができるアプリを作成することが可能となるため、使用者の要望や案件に応じて、運用画面設計や実装機能、デザインを選出した独自のアプリケーションを開発することができるようになります。

SkyPDF WebAPIには、主に以下の機能が存在します。

(https://www.skycom.jp/product/skypdf/webapi/)

 

4-1. SkyPDF WebAPIを使用したデモンストレーション

今回は、SkyPDF WebAPIを使用して作成したデモサンプルアプリを用意しました。

このアプリを用いて、どのようにして実業務上運用できるのかについて、デモンストレーション形式で紹介したいと思います。

 

4-1-1. 紹介する業務内容

皆さんお馴染み「年末調整」PDFへの記入を例として紹介します。

毎年年末に行う必要がある、フォームの印刷→入力→PDF化という手間のかかる作業が、ストレスになっていることかと思います。

SkyPDF WebAPIを用いて開発したアプリを使用すれば、印刷やPDF化といった作業が不要となり、ブラウザ上で簡単に記入して提出することが可能になります。ただし記入を行う場合は、そのファイルのフォームフィールドを対象とする必要があります。

 

4-1-2. デモサンプルアプリを使用した年末調整の作成

それでは、ここから上記に説明したフォームフィールドを含む年末調整を使用して、デモンストレーションを行っていきます。 

手順について以下に記載します。

1.ブラウザへのアップロード

サンプルとなる以下の年末調整のPDFは、フォームフィールドを含むものとなります。こちらのデモサンプルアプリで値の記入を行うことができるPDFはフォームフィールドプロパティを所持しているものに限られます。

こちらをアプリ内にアップロードします。アップロードする際は、以下の雛形帳票管理から登録を行います。

 

 

 

「年末調整.pdf」というサンプルが登録されていることが確認できます。

 

2.PDFへの記入

次に、ブラウザに取り込んだPDFへの記入を行います。

先ほど説明した通り、「雛形帳票」画面から、「個別」欄に存在する登録PDFを開き、編集画面に遷移します。

 

それぞれの項目を押下し、記入していきます。項目がアクティブになっているかどうかは目視で確認できます。

                                  (非アクティブ状態)  

                                  (アクティブ状態)

 

記入が完了したら、「記入完了」ボタンを押します。

下記フォームが完成形になります。


 

あとは、「ダウンロード」ボタンから完成したフォームをダウンロードすれば、年末調整提出の準備が整います。

 

以上のように、SkyPDF WebAPIを使用して作成したデモサンプルアプリを用いて作業を行うことにより、印刷および回収の手間を省くことができ、年末の忙しい時期における大幅な業務時間短縮につながります。

 

また、年末調整以外の署名書や帳票といったものについても、同様にして作成することができます。

 

4-1-3. 感想

SkyPDF WebAPIを用いたアプリを使用して感じたことは、PDFの自由な編集や保存が簡単操作で可能であり、紹介した機能以外についても今後アプリ内に実装してみたいと思いました。

また、このようなアプリを用いることで、手書きで進めることが多い業務に対しても、印刷等を行わずに迅速なPDF編集を行うことができるため、業務効率を大幅に軽減する効果を期待できると感じました。

 

4-2. その他の機能について

デモンストレーションにて説明できなかった標準機能について簡単に説明します。

・手書き文字入力 / サイン

手書き情報をPDFに埋め込んだり、埋め込んだ情報を取得することができます。

編集画面の「文字入力」ボタンを押すと以下の文字入力設定が表示されます。

一部機能の説明は以下の通りです。

Undo:元に戻す

Redo:やり直す

以下のように、ペンで書きこんで保存することができます。

(『令和元年度(2019年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(確報) 』経済産業省より

https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/gaiyou2019fyr.pdf?msclkid=0323dce2d00a11ec9c2965d2bdaffd0d

 

・データ抽出機能

PDFに含まれるテキストや画像、添付ファイルなど各種データの抽出ができます。たとえば、フォームフィールドに入力された値を抽出し、他システムに連携することで、紙帳票で発生する入力業務の削減など、業務の効率化を図れます。

SkyPDF WebAPI使用のデモサンプルアプリより)

 

 

4-3. 拡張機能について

そもそもSkyPDF WebAPIの機能を使用するためには、取り扱うデータがPDFであることが前提かと思われがちですが、PDF以外のデータも取り扱うためにPDFの生成処理、変換処理を行ってくれる拡張機能も存在します。

WebAPIの拡張機能の一つに、SkyPDF WebServerというものが存在します。

こちらはOffice文書等、PDFファイル以外をPOSTすると、

SOAPを呼び出してPDF変換し、リソースとすることができる機能です。PDFへの変換を兼ねることで、業務の効率化を図ることができます。

(http://skycom.jp/product/skypdf/web_server_8/)

 

5. SkyPDFとRPAの互換性について

SkyPDFは、RPA(Robotic Process Automation)との連携による業務効率化も可能となっており、プラットフォームの一つである「BizRobo! Basic Robo」を使用したPDF業務の自動化を行うことに成功しています。これにより、PDFデータの取り込み、また後続処理におけるデータの二次、三次利用までも一気通貫にRPAによって代行させることを可能にしました。

結果として、印刷代、保管代、紙処理に係る各種オペレーションの費用を削減し、業務のデジタルトランスフォーメーションを一気に加速させることができます。業務費用のみならず、業務時間の短縮にもつながるため、より生産性を向上させる仕事へのリソース配置を行うことができます。

(https://www.nikkan.co.jp/releases/view/81066)

6. まとめ

今回はSkyPDFの製品を大きく分けて二つ紹介しました。

特にSkyPDF WebAPIは、PDFに対するあらゆる操作を可能にすることから、多種多様な導入方法を考えられました。また、電子捺印といった最近流行りの技術に対しても拡張機能にて対応しており、今後の追加機能等についても期待ができます。弊社はノーコード・ローコードの開発支援も行っていて、こちらを開発ツールとして組み合わせることで、まだ帳票を含んだ業務を展開している顧客のデジタル化ニーズに広範囲に応えていくことができると感じました。何かお困りのことがありましたら、ぜひこちらから弊社までご連絡ください。

 

本コラムを最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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