Celonisユーザーカンファレンス「Celosphere Japan 2020」参加レポート

皆さん、こんにちは。
9月に入っても、まだまだ暑い日が続いていますね。
今年の夏は例年とは異なる夏となりましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
コロナにも健康にも気を付けながら、充実したお家時間を過ごして下さい。

さて、今回は7/22に行われたCelonisユーザーカンファレンス「Celosphere Japan 2020」に参加いたしましたので、その参加レポートをご紹介いたします。

初めに

「プロセスマイニング」と「Celonis」について簡単に説明すると、「プロセスマイニング」はイベントログから現状の業務プロセスを分析するツールのこと、「Celonis」とはプロセスマイニングツールの1つです。

例えていうと、「プロセスマイニング」は業務プロセスのCTスキャナー、「Celonis」はスキャナーのメーカーということです。

なんとなくイメージはつきましたか?

もっと詳しく知りたい!という方はこちらの記事をご覧ください。

 

Celonisのユーザーカンファレンスは2019年から開催され、第1回は1000人が参加し、今年の第2回はコロナの影響で開催方法をオンラインに変更し、15000人が来場したそうです。

開催方法がオンラインになり、世界中の人が参加しやすくなったとはいえ、前年の15倍もの人がカンファレンスに参加しているのはすごいことですよね。それほどプロセスマイニングが注目されてきているということです。

カンファレンスでは「基調講演」「製品デモ」「導入事例」「パートナープログラム」の4部構成となっていました。今回は「基調講演」と「導入事例」に絞って、ご紹介いたします。

【基調講演】レポート

では、なぜプロセスマイニングが注目されるようになったのか、その背景を詳しく見ていきましょう。

多くの企業はデジタル化に莫大な資金を投資してきました。最初の1970年代のメインフレーム、80年代のPC、そして現代のクラウドアプロケーションという形で、1つの会社は平均してエンタープライズアプリケーションを508も入れていて、3分の2がCEOの戦略上のデジタルトランスフォーメーションが最重要だと考えています。

一方、業務プロセスの現実としては一体どうなのか。

有名なアナリストのガートナー(人ではなく、IT企業を中心に調査や助言を行う企業)は、「デジタルトランスフォーメーションは予算超過、あるいは期日遅れになってきていることが非常に多い」と仰っています。Celonisがサービスを提供している企業でも、営業面での売上予測精度は78%、また顧客満足度は32%にとどまっていて、納期遵守率や手戻り率は40%前後。こういった形で、業務プロセスを効率化するためにデジタル化を進めてきましたが、なかなか現実は効果が出ていないということになります。

つまり、会社のビジネスプロセス部門や機能、パッケージで分断されたITシステム上を綱渡りしている状態になっていて、最適化したい理想とのギャップが生じています。

 

なるほど。システムが導入時から時間の経過とともに古くなり、さらに数多くのアプリケーションが分断されて使用されていることで、ブラックボックス化が根深くなっているために、DXがより重要になってきているということですね。

確かに、今から50年も前となると大阪万博で初めて携帯電話がお披露目された頃です。50年前の携帯電話と現代のスマートフォンを比較してみるとわかりますが、現代では50年前の携帯電話は使えませんよね。新しい機種が出たら携帯電話を新しいものに変えていくように、システムも時代とともに新しいものに変化していかなければいけません。

 

日本では経済産業省が「2025年の崖問題」として警鐘を鳴らしています。

経済産業省によると、新しいDXを推進していかなければ、2025年以降、最大12兆円/年もの経済損失が発生するとのことです。つまり、新しいDXを推進していくメリットは企業内に留まらず、日本経済にまで影響を及ぼすということですね。

社内のDXを進めることで日本経済にまで影響を及ぼすなんて、驚きました。どんどんDXの重要性が高まりますね!

(参考記事)産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進

また、Celonisは世界的な大企業に対してもサービスを提供しています。

そんな大企業でさえも、売上予測精度や顧客満足度、納期遵守率等は上記の数字にとどまっています。

手戻り率が40%前後なら納期遵守率も下がるのはわかりますが、こんなに低いとは思っていませんでした。それに伴って顧客満足度が下がるのは当然ですよね。

特に日本企業は紙文化・はんこ文化が根強く残っています。コロナの影響でテレワーク化を余儀なくされたため、日本国内でもDXの動きが出てくるかと思いますが、その重要性は世界的にも非常に高いかもしれません。

 

しかし、どんなにシステムを最新にしても、ブラックボックス化している業務プロセスをホワイトボックス化していかなければ、DXを最適化していくためのギャップはなかなか埋まりませんよね。

基調講演の中でも、実際に相談の多いテーマに触れていて、業務プロセスを改善したいテーマが多いことが分かります。

・生産性の向上・RPA化
・グローバルオペレーションの標準化・リーン化 
・常務品質・管理の高度化 経営の見える化によるマネジメントの改善

 

ここで、プロセスマイニングの出番です!

プロセスマイニングとは何だったかというと、イベントログから現状の業務プロセスを分析するツールでしたよね。プロセスマイニングを使用して業務プロセスを分析することで、発生頻度の低い業務プロセスも見落とすことなく、効率的に業務プロセスの改善を行うことができます。特にCelonisは業務プロセスの可視性の高さが魅力で、プロセスマイニングの世界でもトップシェアとなっています。

筆者も実際にCelonisを触ってみましたが、Celonisに詳しくない人でも視覚的に業務プロセスを把握しやすいですよね。

※ピザの注文からピザを焼くまでの業務フロー

※電話で注文を受けてから、ピザを焼く準備をするフローの発生率を表示している。

Celonisは業務プロセスの可視性の高さだけではなく、分析能力にも優れています。

とはいえ、百聞は一見に如かずです。Celonis Snapを無料体験することも可能なので、気になった方は是非触ってみて下さいね。

(参考)Celonis Snapを無料体験してみましょう。

 

以上がプロセスマイニングが注目され、Celonisが数多く導入されている背景になります。

【導入事例】レポート

では実際の企業はどのようにCelonisを導入しているのでしょうか。

カンファレンスでは4つの企業の導入事例を紹介していましたが、その中で特に印象的だった2つの企業についてご紹介します。

プロセスマイニングの導入手順

実際の導入事例をご紹介する前に、まずプロセスマイニングの導入手順を簡単に見てみましょう。

プロセスマイニングの導入手順は収集・発見・強化・監視の4ステップで、業務プロセスを改善していきます。

以下でご紹介する2つの企業も、この導入手順に沿ってプロセスマイニングを導入しています。

(参考記事)プロセスマイニング導入の手順~成果につなげる4つのステージ~

ABB 

ABBとは、電力関連、重電、重工業をメインとする多国籍企業で、ファナック、安川電機、クーカと並んで世界4大産業用ロボットメーカーのひとつです。

プロセスマイニングを用いた導入事例では典型例かと思います。

ABBのサプライチェーンは、外部プロセスと企業間プロセスの包括的なネットワークで構成されていたため、まずはそれぞれのシステムを1つにつなげることから始めます。

Celonisには標準コネクタを使用することで、APIが公開されているシステムのログを収集する「イベント収集機能」があります。この機能を使用することで、各システムのログを収集し、1つのシステムに繋げることが可能になります。システムログは人の目からは見えない部分なので、収集するのは大変ですよね。イベント収集機能はそこをカバーしてくれるので、導入初期にシステムログを収集できないから、プロセスマイニングを断念してしまうということもなさそうです。

そして、1つに繋がったシステムが業務フローの中でどんな機能を果たしているかを分析します。その結果、何が必要で何が不必要なのか、何をすれば最も最適化が図れるのかを探し出します。この分析が非常に重要で、とても難しいです。しかし、Celonisは分析能力が非常に優れているため、業務プロセス内で例外処理やその発生率も確認することができます。

その後Celonisから得た情報を基に、コンサルタントと新しい業務プロセスを構想し、最後は実際に業務プロセスの改善を行っていく流れになります。

Celonisを導入したことにより、100か国以上、2000以上の報告単位のまたがる業務プロセスを透明性をもって管理することができるようになったそうです。さすが大企業なだけあって、業務プロセスの規模も非常に大きいですね。

このようにプロセスマイニングの導入手順に沿って業務プロセスを改善することで、非常に大規模の業務プロセスでも効率的に業務改善できることが分かります。

Lufthansa CityLine 

Lufthansa CityLineとは、主に親会社ルフトハンザドイツ航空のハブ空港と地方空港を結ぶ路線を運航している、ドイツの地域航空会社です。

業務改善の流れ自体はABBと変わりはありませんが、最も大きな違いはLufthansa CityLineの場合はコンサルタントだけではなく、ミュンヘン工科大学やその学生と共に業務プロセスの改善を行っているそうです。とても珍しいですよね。さらにはCelonisだけでなくAIも導入して、さらなるDXを進めているそうですよ。

確かに、プロセスマイニングから業務プロセスの無駄を見つければ、その無駄の分だけ新しいものに投資することができます。Lufthansa CityLineの場合はAIに投資したことで、システムログを収集しやすくし、今後の業務改善にも役立てることができるようにしたのですね。AIを使うというところも、個人的にはすごく新鮮で、やること全てが無駄がない感じが素晴らしいです。

また、DXを進めるためには結構な労力がかかると思っていましたが、Lufthansa CityLineの例を見るとかなりスピーディーにDX化されているように感じました。

プロセスマイニングを使うことで従来よりも楽に業務プロセスを改善できるから、DX化のスピードも速いのかもしれませんね。

終わりに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

読み始める前よりかは、プロセスマイニングやCelonisについてイメージがつきましたか?

日本でのプロセスマイニングの導入企業はまだまだ少ないですが、世界的にはプロセスマイニングは普及しつつあります。また。コロナの影響で働き方を変えざるを得ない状況ですが、まずは業務プロセスを改善しなければ働き方を変えることも難しいです。

社員も企業も、お互いがより良く働くために、プロセスマイニングを導入してみてはいかがでしょうか?

プロセスマイニングツールを用いた業務効率化について詳しく知りたい方はこちらからお問い合わせください。

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