​​クラウドが安くならないとお悩みの方へ

​■クラウドのコストは一般的な課題

 

RightScale5 2018 State of the Cloud Report の調査によると、「十分に使われていないコンピューティングリソースがある」、「非効率性が原因でクラウド費用の3分の1以上が無駄になっている」とクラウド費用が有効に使え切れていない事が報告されています。

またGartnerは2018年時点で、2020 年までにコスト最適化プロセスを導入していない組織は、パブリック クラウドで平均40% の予算超過になると予測していました。 
このコラムをお読みの方の中には、同様にクラウドのコストに悩まれている方が少なからずいらっしゃると思います。クラウドのコストが想定から膨らむ要因はいくつもありますが、その1つにIaaS/PaaSの様なクラウドサービスの提供内容や料金体系の複雑さにより、最適な形態でクラウドを利用できていない事が考えられます。
本コラムでは、最も広く使われているAWSを対象とし、クラウド化のコストの割合が大きく、正しい理解が難しいEC2のインスタンスと料金体系をシンプルに体系化して、費用対効果を最大にする為の考え方を整理してみたいと思います。
 

■AWS EC2のインスタンスの種類

AWS EC2には、下記の通り5種類のインスタンス分類が用意されています。5種類のインスタンスは、その名称の通りにそれぞれ適した利用分野があり、また5種類のインスタンス分類の中には、スペックが異なるいくつかのインスタンスが用意されています。
 ・汎用
 ・コンピューティング最適化
 ・メモリ最適化
 ・高速コンピューティング
 ・ストレジ最適化
最も多く使われると思われる汎用は更に、定常パフォーマンスインスタンスと、バーストパフォーマンスインスタンスに分類できます。
汎用インスタンス種類特徴
定常パフォーマンスインスタンス
  • CPU性能が一定のインスタンス。利用CPUを100%利用可能
  • 定常的に高負荷の処理に適している
  • 対象インスタンス:M6g、M5、M5a、M5n、M4
バーストパフォーマンスインスタンス
  • CPU性能が可変のインスタンス。利用CPUを24時間平均で一定の割合(17~40%)利用可能
  • 高負荷から低負荷まで変動する処理に適している
  • 一定の割合(17%~40%)を超える場合にも、追加料金で動作可能(無制限モード)
  • 対象インスタンス:T3、Ta3、T2

​​​上記の様に負荷により適切なインスタンスが異なります。

 

■価格体系

価格体系は、下記の通りの3種類です。
 
価格体系概要
リザーブド
1年、3年の常時利用の価格
オンデマンドに比べ最大72%の割引価格(不要な時に止めても安くならない)
前払いなし、一部前払い、全額前払いがあり。前払いにより若干の値引き有
オンデマンド
必要な時に利用し時間単位の価格
時間単価はリザーブドに比べ割高だが、利用する分のコストだけに抑えられる
スポット
オンデマンドの最大90%割引
使われていないEC2インスタンスを入札して利用
EC2の空がなくなるとシャットダウンされる場合有(シャットダウン2分前通知あり)
スポットは、いつ実行するかの制約が低いバッチ系の処理に向いています。一方で稼働する時間帯が決まっている場合の選択肢はリザーブドとオンデマンドのいずれかになります。どれを使うかの判断が難しいのも、稼働時間が決まっているケースですので、それを前提に話を進めたいと思います。
コストを考える場合には、上記のインスタンスと価格体系((リザーブド or オンデマンド)の組み見合わせで考える必要があります。
ではどの様な組み合わせにすれば良いのかを具体的に考えてみましょう。

■t3とm5の比較(常時稼働の場合)

まず、24時間365日稼働の条件で、定常パフォーマンスインスタンスとバーストパフォーマンスインスタンスを比較してみましょう。先に概説した様に定常パフォーマンスインスタンスは定常的に高負荷が掛かる場合に適しています。一方で、バーストパフォーマンスインスタンスは負荷が変動する場合に適しています。では、この2つの使い分けの分岐点はどこにあるのでしょう?
バーストパフォーマンスインスタンスは、既に述べたように汎用インスタンスでしか選べません。汎用インスタンスの定常パフォーマンスインスタンスとバーストパフォーマンスとして、それぞれm5とt3を比較してみましょう。いずれもサーバー向けのIntel Xeon Platinumプロセッサーです。ネットワークの帯域がm5の方が広いですが、その違いが問題にならないと言う前提で比較してみましょう。
それぞれの価格は以下の通りです。(Windows。2020年7月4日時点)
 
インスタンス月額料金
m5.large139.43ドル
t3.large82.56ドル(CPU利用率30%まで)
上記だけ見るとt3が圧倒的に安く見えますが、t3は月平均のCPU利用率が30%の時の価格で、それをオーバーした分は従量で加算されます。下記の図の通りCPU利用率が42.5%になると2つの価格は同じになり、それ以上ではt3の方が高くなります。
 
 
ただし、繰り返しになりますが、これは24時間365日稼働させた場合の比較です。例えば企業内のシステムの場合には稼働時間を限定している場合もあるのではないでしょうか?その場合を次に考えてみましょう。

■価格シミュレーション(稼働時間が限定される場合)

企業内システムとして下記を想定してみましょう。
 ・稼働日数 5日/週
 ・稼働時間 12時間/日
 ・CPU使用率 1日平均60%
価格比較の組み合わせは以下の通りです。
 ・(m5 or t3) X (リザーブド or オンデマンド)
計算の過程は細かくなるので省略しますが、結果は下記の通りになります。(Windows。2020年7月4日時点)
 
 
リザーブド
オンデマンド
t3.large
$82.56/月
(59%)
$39.94/月
(29%)
m5l.arge
$139.43/月
(100%)
$51.84/月
(37%)
 
同じm5で比較しても、オンデマンドを利用する事で37%にまでコストを削減でき、更にバースト型のt3の場合には29%にまで圧縮可能な事が分かります。
この違いを知らずにm5のリザーブドで使っていたとしたら、約70%のコストを無駄にしている事になります。こんなに大きなコスト差があるとは、ご存じなかった方も多いのではないでしょうか?

■最後に

本コラムでは1つの想定での試算を行いましたが、稼働前提によりどのインスタンスや価格形態が適するのかは変わってきます。また、クラウド化のコストは上記のEC2だけではありません。
複雑なAWSの商品構成や価格を全て理解するのはなかなか難しいと思います。BTCはAWS以外にもAzureの豊富な知識と経験も持っていますので、クラウドに関してお困りの事があれば是非ごお気軽にご相談ください。ご相談はこちらにお願いします。
 

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