プロセスマイニングツール ABBYY Timeline を使ってみた!

皆さん、お疲れ様です。

今回はプロセスマイニングツールシリーズ第3弾ということで、「ABBYY Timeline」の実証レポートを書いていきたいと思います!

プロセスマイニングツールって何?という方はこちら

プロセスマイニングツールの導入を検討されている方は、前回の「Celonis」の実証レポートも要チェックです。

ABBYY Timelineとは

開発元ABBYY USA Software House, Inc.
設立1989年
主要顧客非公開
問い合わせ先ABBYY 日本

ABBYY Timelineは、OCR製品で有名なABBYYが2019年に買収したTimeline PI社のプロセスマイニングツールです。一般的なプロセスマイニングでは、分析対象のイベントログをアップロードした後、最初に表示するのはプロセスモデル、すなわちプロセスの流れを示したフローチャートです。一方、Timelineでは、分析対象プロセスに関わる様々な数値が示される概要(Overview)が表示されます。
プロセスマイニングツールとしての基本機能は装備されており、特に、複雑・高度な分析をいかに簡単に操作でき、わかりやすく提示するかということを重視したユーザーインターフェイスになっていると感じられます。

ABBYY Timelineの特徴

システムログなどのデータに対して、複雑なクエリや高度な分析を行い、分析結果を可視化できることがABBYY Timelineの最大の特徴です。
分析系の主な機能は以下の3つです。

  1. パス分析
  2. プロトコル分析
  3. プロセスのクエリ

実証レポートではこの3つの機能を中心に見ていきたいと思います。

実証レポート

・ログイン
⇒データアップロード選択

・ファイル選択

・取り込んだデータにカラムを設定する
 ※「タイムラインID」「イベント名」「タイムスタンプ」は必須で必要です

・取込完了☆

⇒「タイムラインセットに移動」をクリック
イベントログを取り込むことができました!
続いて、ABBYY Timelineの特徴である分析の機能についてみていきます。

パス分析

画面右の「パス」をクリック!

「スキーマ」を選択すると表示形式が変わります

【機能と特徴】
プロセスの可視化を行ってくれる機能
プロセスごとに分けて表示して、それぞれの発生割合を出してくれている点が特徴

【RPA観点での考察】
まず、プロセスを可視化することは、自動化するプロセスを判定する際に有用です。自動化しやすい業務の特徴として、以下の4点があげられます。

  1. 定常業務
  2. 同じことを繰り返し行う業務
  3. 作業手順が明確で単純な業務
  4. 利用するシステムがRPAツールとの相性がいい業務

※自動化に適した業務については、過去記事にも紹介されているので参考にしてください。

プロセスごとに分けて表示されていたり、それぞれの発生割合が分かったりすることは、上記の1~3の特徴を判断するうえで役に立ちます。発生割合が多いプロセスを自動化することで高い効果を期待できますし、より単純なプロセスを自動化することで開発コストを抑えることができます。

また、可視化されたプロセスは、RPAの設計に有用です。RPAの設計の際、自動化対象の業務をヒアリングする必要があるのですが、プロセスマイニングにより可視化されていればそれを基に設計を行うことが可能です。業務ヒアリングのための打ち合わせの時間を削減できることは、開発工数の削減はもちろん、業務担当者の負担軽減にもつながります。

プロトコル分析

画面右の「プロトコル」をクリック!


例えば、一番上の行では

プロトコルアイテム:Issue Found
違反タイプ:不足ステップ

となっているので、「Issue Found」が不足しているプロセスの検索が可能です。

検索結果がこちら↓

【機能と特徴】
プロトコルに設定したフローを通っていないプロセスの検索機能
「ステップが不足している」や「ステップの位置が違う」といった条件で場合分けして件数をだしてくれている点が特徴

【RPA観点での考察】
この機能はRPAの実績を確認する際に用いることができます。プロトコルにRPAで実装したフローを登録することで、そのフローを通っていないプロセスの検索を容易にできます。RPAで自動化しきれていないプロセスを確認できることは、既存ロボットの追加改修を行う際の判断に有用です。違反を表示した際に「件数」や「タイムライン」の情報を確認できることも良いですね。件数が多いものから追加で実装していくという使い方もできますし、定期的にモニタリングしていればシステムの仕様変更などでRPAの挙動がおかしくなった場合も検知することができます。

クエリ分析

画面右の「クエリ」をクリック!

「Issue Foundが発生しない」という条件で検索した結果がこちら↓

【機能と特徴】
プロセスの検索機能
複数イベントの指定など、詳細な検索条件を設定・保存できるのが特徴

【RPA観点での考察】
プロセスの検索機能は様々な局面で使用することができそうです。
例えば、プロセスの一部分のみ自動化する場合には、自動化対象のフローで検索をして「自動化することによる効果」や「前後にどのような操作が必要なのか」を確認できます。一部分の自動化というのはしばしばあります。やはり、プロセスのすべてがRPA向きというわけではないケースもあり、人の判断が入ってしまったり、システムの相性の問題もあったりします。そういうケースでは、RPAに適した部分のみ自動化して他の部分はマニュアルで行うといった役割分担が重要になります。

また、障害発生時にも有用です。障害発生時のフローで検索を行うことで、前後の挙動や過去の発生回数などの情報を得ることができます。前後の挙動は障害の調査の助けになりますし、発生回数が多ければすぐに対応、少なければ一旦様子見という判断も可能です。

【参考】RPA導入フェーズにおける各分析の有用性

 計画フェーズ保守運用フェーズ
パス分析業務ヒアリングの必要がなくなる

 

プロトコル分析 追加改修の判断を容易にする
異常を検知できる
クエリ分析部分的な自動化の際の効果、影響範囲を調査できる障害調査を容易にする

まとめ

今回ABBYY Timelineについて、「パス分析」「プロトコル分析」「クエリ分析」の3つの機能を主に紹介しました。他にも様々な機能があり、すべてを試すことはできていませんが、分析系の機能が充実している印象を受けました。分析結果をもとに業務を評価したり、プロセスを調査していくということは、業務を継続的に効率化するうえで必要なことだと思います。業務の効率化には様々な判断が必要です。膨大な業務の中から効率化できそうな業務を選定しなければなりませんし、効率化の手段もRPAによる自動化だけではなく、様々な手段の中から選択しなければなりません。その一つ一つの判断に、プロセスマイニングツールの分析結果が役に立つのではないでしょうか。

プロセスマイニングツールを用いた業務効率化について詳しく知りたい方はこちらからお問い合わせ下さい。

 

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